2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機アミン・ルイス酸の共触媒系を活用する多機能性反応場の構築
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25708016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加納 太一 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40372560)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機分子触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニトロソ化合物は窒素原子・酸素原子の双方が求核剤の反応点となる特異な性質を有しているため、窒素原子・酸素原子の導入源として、アミン有機触媒によるエナミン経由型反応にも広く用いられてる。ニトロソ化合物は一般的に反応性が高く不安定な化合物であるため、ニトロソベンゼンに代表される比較的安定で取り扱いが容易な芳香族ニトロソ化合物が合成反応に用いられている。しかしながら、芳香族ニトロソ化合物を利用したヒドロキシアミノ化反応では、生成物の窒素原子上の芳香環を取り除くことが容易ではない。一方、窒素原子上にBoc基やCbz基を有するニトロソカルボニル化合物は、窒素原子が除去の容易な保護基で置換されているが、これらのニトロソカルボニル化合物は反応性が高く、不安定で取り扱いが困難であるため、前駆体であるN-ヒドロキシカルバメートの酸化によって系中発生させ、すぐさま反応基質で捕捉する必要がある。このため、近年までヘテロDiels-Alder反応やエン反応といった限られた反応でしか利用されておらず、触媒的不斉反応もわずかに一例が報告されているのみであった。 そこで本研究では、アミン有機触媒より系中発生するエナミン中間体に対して、系中発生ニトロソカルボニル化合物を作用させることで、アルデヒドの不斉ヒドロキシアミノ化反応の可能性について検討した。その結果、触媒としてビナフチル骨格を有する二級アミンを用い、N-ヒドロキシカルバメートの酸化剤として、過酸化ベンゾイルと2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシルから系中発生するオキソアンモニウム塩を用いたときに、中程度から高収率かつ高いエナンチオ選択性で目的のヒドロキシルアミノ化された生成物が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化によって系中発生させたニトロソカルボニル化合物を用いるヒドロキシアミノ化反応において、用いる酸化剤によってニトロソカルボニル化合物への反応位置が変化しており、酸化剤およびその副生成物のルイス酸、もしくはブレンステッド酸としての性質が官能基選択性に影響していることが確認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もアミン有機触媒と共存可能な酸の添加効果を詳細に調べ、従来の触媒や反応条件では困難とされた新規反応の実現を目指す。
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Causes of Carryover |
研究が当初の想定とは異なる方向への展開し、また研究に携わる人員の数が当初の予定より減ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
有機アミン触媒を合成するための種々の原料および当該研究の遂行に必要な実験器具類やシリカゲルなどの消耗品を購入する。
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