2015 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-フッ素結合の位置選択的切断に立脚したパーフルオロ化合物の自在合成
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25708018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大橋 理人 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60397635)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 炭素フッ素結合活性化 / 分子変換反応 / パーフルオロ化合物 / パラジウム / ニッケル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては、0価パラジウム活性種とルイス酸添加剤との協働効果によるパーフルオロアルケンの炭素-フッ素結合切断反応における位置選択性発現の機構を明らかにすべく、種々の量論反応を行うとともに、理論化学的アプローチによる機構解明に取り組んだ。その結果、反応の初期過程において、アリル位の炭素‐フッ素結合が速度論的に切断されていることを見出すととともに、この過程で生じた共役塩基や対アニオンの嵩高さ/求核性が生成物の構造決定に大きな役割を果たしていることを明らかにした。特に、BF3・Et2Oをルイス酸として用いた場合には、アリル位の炭素‐フッ素結合切断に引き続き、2度目の炭素-フッ素結合切断を経てパーフルオロプロぺニル錯体へと異性化する興味深い機構を明らかにした。 また、0価ニッケル上でのテトラフルオロエチレン(以降、TFEと略)とスチレンとの酸化的環化によって生じるニッケラサイクルからのαフッ素脱離(α位の炭素-フッ素結合切断)がアミンによって促進されることを明らかにした。一方、TFEとエチレンとの酸化的環化によって生じるニッケラサイクルを鍵活性種として用い、目的とする位置選択的な炭素-フッ素結合切断について検証したが有意な結果は得られなかった。しかし、この過程で、TFEをエチレンとの酸化的環化体を鍵中間体とする2種類のニッケル触媒を用いた三量化反応の開発に成功し、専門誌上にて成果発表した。 さらに、トリフルオロメチルケトン誘導体のボリルキュプレーションとこれに続くβフッ素脱離を鍵過程とする銅触媒を用いたトリフルオロメチルケトン誘導体のレフォルマトスキー反応の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の実施計画に挙げた研究目的「炭素-フッ素結合の位置選択的活性化を達成する遷移金属活性種」を開発するとともに、その位置選択性発現機構を解明したことから、概ね順調に推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
0価ニッケル上でのテトラフルオロエチレン(TFE)とスチレンとの酸化的環化によって生じる含フッ素ニッケラサイクルとアミン類との反応によって促進される位置選択的な炭素‐フッ素結合切断反応の機構解明と位置選択性発現の理由解明に向けて実験的・理論的手法に基づいた検証を実施する。その成果を専門誌に投稿するとともに、これらの切断反応を鍵過程とする分子変換反応の開発に取り組む。
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Research Products
(64 results)