2013 Fiscal Year Annual Research Report
チェーンウォーキングを利用した高度な触媒的有機合成法の開発
Project/Area Number |
25708019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河内 卓彌 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (70396779)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環化異性化反応 / ヒドロシリル化反応 / チェーンウォーキング / パラジウム触媒 / シクロペンタン誘導体 |
Research Abstract |
本研究において、平成25年度は主にチェーンウォーキングを経る1,n-ジエンの環化異性化反応とヒドロシリル化反応を組み合わせたタンデム型反応の開発を行った。まず、シクロヘキセン部位と末端オレフィン部位を併せもつ1,8-ジエンとトリエチルシランを3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリンパラジウム触媒を用いて反応させると、ヒドロシリル化およびチェーンウォーキングを経る五員環形成反応が進行し、アルキル鎖の末端にトリエチルシリル基が導入されたビシクロ[4.3.0]ノナン誘導体が得られた。特に、ジクロロメタン中、40 °Cで4時間反応を行ったところGC収率は83%まで向上した。本反応は、1,7-ジエン, 1,9-ジエンおよび1,10-ジエンにも適用できた。また、リンカー部位としてもマロン酸ジメチルやマロン酸ジエチル、メルドラム酸由来の四級炭素部位をもつものが適用可能であった。さらに、非環状の内部オレフィン部位をもつ基質も用いることが可能である一方、シランとしてもジエチルメチルシランやエチルジメチルシランも収率よく目的物を与えた。本反応では、まず系中で発生したシリルパラジウム種が基質の末端オレフィン部位へ付加し、チェーンウォーキングによって五員環形成可能な位置までパラジウムが移動する。続いて、パラジウム―炭素間へもう一方のオレフィンが挿入した後にシランと反応し、生成物が得られるとともにシリルパラジウム種が再生すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
チェーンウォーキングを経る1,n-ジエン類のタンデム型ヒドロシリル化/環化異性化反応に関してはその開発が進んでおり、基質適用範囲の拡大を続けている段階である。しかし、チェーンウォーキングを経て一度に複数の環を構築するタンデム型触媒反応に関しては、まだ初期の検討段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
チェーンウォーキングを経る1,n-ジエン類のタンデム型ヒドロシリル化/環化異性化反応に関しては基質適用範囲の拡大を続けるとともに、チェーンウォーキングを経て一度に複数の環を構築するタンデム型触媒反応に関してもより詳細な検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
チェーンウォーキングを経て一度に複数の環を構築するタンデム型触媒反応の開発が遅れており、それに伴う試薬の購入等の支出がまだ行われていないため。 上記のチェーンウォーキングを経て一度に複数の環を構築するタンデム型触媒反応の開発を進めるとともに、様々な基質に展開する段階において必要な試薬等の購入を行っていく。
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Research Products
(1 results)