2014 Fiscal Year Annual Research Report
チェーンウォーキングを利用した高度な触媒的有機合成法の開発
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25708019
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河内 卓彌 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (70396779)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環化反応 / ヒドロシリル化反応 / チェーンウォーキング / パラジウム触媒 / シクロペンタン誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において今年度もまずチェーンウォーキングを経る1,n-ジエンの環化・ヒドロシリル化反応の基質適用範囲の拡大を試みた。例えば、末端オレフィンと非環状の内部オレフィン部位を併せもつ基質に関して詳しい検討を行ったところ、1,8-から1,12ジエンまでの基質を用いてもそれぞれ64-79%の収率で目的物が得られ、特に1,10-ジエンを用いた場合に最も高収率となった。三置換オレフィン部位をもつ1,8-ジエンを用いた場合にも五員環形成は可能であり、シリルアルキル基と二級アルキル基を五員環上にもつ化合物が得られた。リンカー部位の四級炭素を三級炭素とした基質でも反応の進行が確認できた。またヒドロシランとしてペンタメチルシロキサンを用いても環化・ヒドロシリル化は進行し、得られた生成物は玉尾酸化反応によりアルコールへと変換可能であった。 さらに重水素標識実験も行った。末端オレフィン部位のメチレンをCD2基として検討を行ったところ、多くの重水素は末端部位に残っていたが、一部の重水素の1から3炭素分の移動が確認できた。これは環化以前にチェーンウォーキングが起こっていることを示唆するものであると同時に、チェーンウォーキングがトランス体およびシス体オレフィンの両方を経て進行していることを示唆するものである。またヒドロシランを重水素標識した反応の実験結果からは、環化後もチェーンウォーキングによってさらにパラジウムの位置が移動していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環化・ヒドロシリル化反応に関しては、基質適用範囲の検討から反応機構に関する実験までを行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
チェーンウォーキングを経るさらに高度な複合型反応の開発を進めるとともに、反応の不斉化、有機合成へのさらなる応用を行う。
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Causes of Carryover |
環化・ヒドロシリル化反応に関する詳細な検討を優先したため、前年に行う予定であったその他の発展的研究が次年度になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
チェーンウォーキングを経る高度な複合型反応の開発とともに、その不斉化や応用についても進める。
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Research Products
(7 results)