2013 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースから化学品への直接合成を実現する環境調和型触媒反応システムの構築
Project/Area Number |
25708028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山口 有朋 独立行政法人産業技術総合研究所, コンパクト化学システム研究センター, 研究チーム長 (90339119)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 再生可能資源 / バイオマス / セルロース / ソルビトール / イソソルビド |
Research Abstract |
循環型社会構築のために枯渇性資源ではなく再生可能な資源を原料として利用する研究が進められている。特に、非可食性バイオマスのセルロースから有用物質に変換する反応が研究されている。本研究では、非可食性バイオマス資源であるセルロースを直接イソソルビド(高分子添加剤や医薬品原料)に変換する担持金属触媒および反応システムの開発を行う。この研究により硫酸などの強酸を使用せず、水素化分解反応・脱水反応を水溶媒中にてワンポットで進行させる新しい環境調和型化学を開拓できる。現行の技術でセルロースから複数の反応ステップを経ることでイソソルビドへ変換可能であり、また、最終ステップとなるソルビトールの脱水反応によるイソソルビドの生成は、硫酸を用いることにより進行することが報告されている。しかし、反応後に中和・中和により生成する塩の分離・生成物の精製と煩雑な過程が必要である。 本年度は、セルロースの水素化分解反応・ソルビトールの脱水反応を水溶媒中にてワンポットで進行させるのに高活性な担持金属触媒および固体酸の組み合わせの探索を行った。担持金属触媒としてルテニウム金属、固体酸としてイオン交換樹脂を用いることにより高効率でセルロールからイソソルビドへの変換が可能であることを明らかにした。本反応プロセスでは、反応後の中和操作が不要であり、非可食性バイオマスのセルロースから有用化学物質であるイソソルビドへと一段階で変換可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強酸を用いずにセルロースからイソソルビドに高効率で変換可能であることを明らかにし、さらに、セルロース源として木粉そのものを使用可能であることを明らかにした。論文1報投稿中、学会発表3件の実績を上げた。
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Strategy for Future Research Activity |
セルロースからイソソルビドへの変換をワンポットで進行させるのに高活性な担持金属触媒および固体酸の組み合わせの探索を行った。今後は目的生成物の収率を最大化するために特定の反応条件で反応生成物組成の経時変化を測定し、速度論解析を行うことにより、収率を最大化する。さらに、高温水中で安定な触媒担体として炭素系担体(活性炭、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、メソポーラスカーボン)、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどを用い、本年度に得られた結果を生かして触媒調製を行う。特に炭素系担体の表面官能基とセルロースとの相互作用が予想され、炭素系担体の前処理(表面官能基の制御)も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度入札により購入した機器(GC-MS)が、予定価格していた価格より大幅に低い価格で納入されたため残額が生じた。 予定していた高圧反応装置や消耗品のほか、前年度残予算を使用して、より研究を加速させるため研究に必須なGCの購入を行う。
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