2013 Fiscal Year Annual Research Report
C60誘導体アクセプターの配列制御を基軸とした逆型有機薄膜太陽電池の高効率化
Project/Area Number |
25708029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
桑原 貴之 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (80464048)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / 電子捕集層 / 電子アクセプター / 界面制御 |
Research Abstract |
逆型有機薄膜太陽電池は、透明電極/電子捕集層/有機発電層/正孔捕集層/裏面電極から構成されるため、本研究では、より高い電圧が期待できる56π系フラーレンアクセプターに着目して、「電子捕集材料と有機発電層界面の制御」を実施し、デバイス作製の観点から、高効率・長寿命素子の基礎的知見を明らかにする。56π系二付加体フラーレンは球状化合物であるため、8種類の位置異性体を含む混合物となっており、エネルギー準位のばらつきやモロフォロジー制御の再現性などに課題があるため、HPLCによる精密分離を行った。分離の結果、trans体およびエカトリアル体の生成量がcis体の生成量に比べて多く、立体障害の影響が大きいことが分かった。最も収率が高かったエカトリアル体を用いて逆型有機薄膜太陽電池を作製した結果、異性体混合物を用いた場合に比べて、光短絡電流(Jsc)が約30%増加し、エネルギー変換効率(PCE)も約50%向上した。この結果より、異性体の種類によって発電層内のモロフォロジーが変わること、すなわち、電荷分離および電荷輸送に大きな影響を与えることが分かった。また、電子捕集層に用いる捕集材料を変えることにより、PCEの経時変化が観察され、ZnOを用いた場合、光照射直後に最高性能が得られたのに対し、PEIEを用いた場合、光照射時間の増加に伴って徐々にPCEが上昇していく過程が観察された。つまり、下地である電子捕集層を変えることによってPCEの経時変化が変わっていることが示され、界面制御の重要性が再確認された。この挙動の違いは電子捕集層とフラーレン材料間の密着性に起因する電子移動のしやすさが関係していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機薄膜太陽電池の性能を引き出すためには有機発電層におけるドナー材料とアクセプター材料の混和性が重要である。アクセプター材料として用いられた56π系フラーレンは8種類の異性体が存在するため、エネルギー準位のばらつきやモロフォロジー制御の再現性などに課題がある。本研究では、その異性体を分離精製することにより、電池性能が向上することを見出し、異性体の重要性を示すことができた。また、電子捕集層の違いによって、PCEの経時変化が観察されたことから、電子捕集層/フラーレン間の電子的な距離が重要であることが確認され、順調に成果が得られたため(2)の評価をした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、「n型無機半導体/フラーレン間の効果的な電子移動の確立」と「有機発電層からn型無機半導体へのスムーズな電子移動界面の構築」に取り組み、この積層界面における効果的な電子移動の必要要件の導出とデバイス作製技術の確立を行う。
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Research Products
(8 results)