2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25708033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 崇匡 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70456151)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / TetraPEGゲル / 有効媒質近似 |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子ゲルは、高分子の三次元網目が溶媒を含み膨潤した物質である。特に、溶媒として水を含むものは、ハイドロゲルと呼ばれ、その組成が生体軟組織と類似していることから、バイオマテリアルとして注目を集めている。そのような高いポテンシャルを有するにもかかわらず、ハイドロゲルのバイオマテリアルとしての応用例はいまだ多くない。それは、ハイドロゲルをなす高分子網目構造を制御することが困難であり、物性の制御性が低いことに起因する。本課題の目的は、高分子ゲルの不均一性が物性に及ぼす影響を詳細に調べ、高分子ゲルの構造・物性相関を明らかにすることにある。 今年度は、高分子ゲルの不均一性の中でも結合不均一性について詳細に調べた。結合不均一性は、高分子網目の破れの様なものであり、網目サイズに密接に関係することが予想される。結合不均一性を任意に制御した網目に対して、モデル物質の透過性を測定した結果、結合不均一性の増大に伴い、物質透過性が増加することが明らかになった。また、網目サイズは、ゲルの弾性率より算出されるものと、中性子散乱により測定されるものがあるが、物質透過性を決定しているのは前者であることが明らかになった。この結果は、The Journal of Physical Chemistryに掲載された。 さらには、均一な高分子ゲルの弾性率についても調査を行った。その結果、従来のいかなる分子論的モデルを用いてもTetra-PEGゲルの弾性率を記述することは不可能であることが明らかになった。その一方で、有効媒質近似を用いることにより、弾性率の記述は可能であった。この結果は、The Journal of Chemical Physicsに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、順調に推移している。 このペースで進行すれば、最終目的の達成は可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に推移しているため、計画書通りに進めていきたい。
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Causes of Carryover |
年度の終盤に予定した実験が遂行できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に行うこととする。
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