2013 Fiscal Year Annual Research Report
超高靱性カーボン膜の創出と高速液相分離技術への展開
Project/Area Number |
25708035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
藤井 義久 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (70578062)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カーボン / 粘弾性 / プラズマCVD / 分離膜 / 高分子 / 薄膜 / 構造・物性 |
Research Abstract |
カーボン材料の「硬くて脆い」といった問題点を解決するために、セラミックスと高分子の有用な性質を両立する超高靱性カーボン膜の創出と新しい材料分野の開拓を目的として、高分子材料学の視点から、カーボン材料の作製を行った。 「超高靱性カーボン膜の創出」として、高分子薄膜の焼成法、および炭化水素ガスを用いたプラズマCVD法に基づきカーボン膜を作製した。高分子薄膜の焼成では、原料の選択だけでなく、炭化と酸化を制御するために系の酸素濃度を低下させることが重要であり、加圧/真空下での熱処理が有効であることが示唆された。 X線光電子分光(XPS)測定から評価したDLC膜の組成は、炭素が95.6 %であり、部分的に酸化されて、アルコキシル基、カルボニル基、エステル/カルボキシル基などが形成されていることが分かった。XPSやFT-IR測定の結果を合わせると、得られたDLC膜は、アモルファスカーボンの3次元架橋構造であると考えられる。 さらに、原料の組成として窒素を導入したカーボン膜についても検討した。シリコン基板上に作製したDLC膜では、原子間力顕微鏡観察に基づき評価した膜表面の自乗平均面粗さは0.7 nmであり、平滑なカーボン膜が得られた。膜の弾性率は、シリコーンゴム基板上に作製したDLC膜において、表面層と下地弾性体層との弾性率の差に基づき誘起される表面座屈構造を解析することで評価した。表面層のDLC膜の弾性率は50 GPa程度であり、DLC膜(あるいは硬質炭素膜)としては、比較的柔らかい膜が形成されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アモルファスカーボンの3次元架橋構造を有する膜の作製に成功し、その組成および力学物性評価にも着手しており、一定の成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、初年度に確立したカーボン膜の作製法を深化させるとともに、カーボン膜の化学組成解析を行う。さらに、種々のレオロジカルな手法を用いてカーボン膜の力学物性を評価し、化学組成あるいは膜構造と突き合わせることで構造・物性の相関解明に取り組む予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
人件費の社会保険料不足分の支出が不確定であり、最後まで動かすことができなかったため。 次年度の物品費として適切に使用させて頂きたい。
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Research Products
(7 results)