2014 Fiscal Year Annual Research Report
超高靱性カーボン膜の創出と高速液相分離技術への展開
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25708035
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
藤井 義久 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (70578062)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カーボン / 架橋高分子 / 粘弾性 / 分離膜 / 膨潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボン材料の「硬くて脆い」といった問題点を解決するために、セラミックスと高分子の有用な性質を両立する超高靱性カーボン膜の創出と新しい材料分野の開拓を目的として、高分子材料学の視点から、カーボン材料の作製を行った。 薄膜の構造・物性解析技術の確立を目指し、炭化水素ガスを基本原料として用いたプラズマCVD法に基づき作製したカーボン膜(超高靱性カーボン膜)の力学物性について検討した。カーボン膜の力学物性は、粘弾特性、応力-ひずみ特性、圧縮弾性率、曲げなどの観点から総合的に明らかにした。動的粘弾性測定より明らかにしたカーボン膜の弾性率は約50GPa程度であり、表面座屈構造解析より評価した膜の弾性率と良く一致した。さらに、原料ガスに窒素を含む炭化水素ガスを用いることで膜の強靱化に成功した。その例として、原料の組成として窒素を導入したカーボン膜では曲げによる伸展ひずみが1%以上の領域においても破断が観測されなかった。 カーボン膜の階層的構造として、細孔径と細孔の膜厚方向への分布および膜厚方向の密度プロファイルを明らかにした。細孔のサイズはサブナノ・ナノ空孔評価に対して非常に高感度な分析手法である陽電子寿命測定法に基づき計測した。その結果、プラズマCVDの条件(ガス流量、圧力、周波数)を精密に制御することによって、細孔が観測されない無孔膜から細孔半径が0.6nmまで制御できることが明らかとなった。 また、膜厚方向の密度プロファイルは、中性子反射率測定に基づき明らかにした。特定の条件でカーボン膜を作製することで、膜の組成が膜厚方向に連続的に変化する傾斜構造を設計できることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多孔性カーボン薄膜の構造・物性解析に基づきアモルファスカーボンの3次元架橋構造、組成および力学物性評価を行っており、それぞれの結果が良い相関を示している。『多孔性』カーボン膜の構造・物性解析の基本モデルの構築も検討できる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、膜を透過する液体の粘度と流束の関係、あるいは、膜の分離性能とこれまで明らかにしてきた膜中のナノ細孔径および階層的構造の知見を組み合わせることで、超高靱性カーボン膜における液相分離メカニズムを解明し、研究を総括する。
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Causes of Carryover |
起票した経費の概算額と実経費との間に差額が生じたが、年度末であったために残額の使用が懇談であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費として適切に使用させて頂きたい。
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Research Products
(11 results)