2015 Fiscal Year Annual Research Report
超高靱性カーボン膜の創出と高速液相分離技術への展開
Project/Area Number |
25708035
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
藤井 義久 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (70578062)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カーボン / 分離膜 / 傾斜構造 / ナノ薄膜 / 構造・物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子の炭化とカーボン膜のアモルファス化の2つのアプローチにより、極薄のカーボン膜を創出し、膜の構造・物性解析および液相分離機構の動的な解析に基づき、ナノ空間における物質透過のメカニズムに取り組んだ。 アモルファスカーボンを原料として作製した厚さ50nmのカーボン薄膜では、NaClの水溶液から、水だけを透過しNaClを分離することに成功した。塩の除去率は90%以上であり、疎水性のカーボン膜においても膜中にサブナノサイズの細孔を設計することで、水系の分離膜としても使用できることを見いだした。さらに、種々のアルコールの濾過を実施した結果、メタノール分子は膜を透過し、エタノール分子は膜を透過しなかったことから、カーボン膜中の細孔サイズはメタノールよりも大きく、エタノールの分子サイズよりも小さいことが示唆された。これらの結果は、カーボン薄膜の陽電子消滅測定から計算される平均的な細孔径ともよく一致している。 カーボン膜の作成過程におけるモノマーガス密度の変化を利用して、膜厚方向に組成分布を有する傾斜構造膜を作製した。傾斜構造を有するカーボン膜と単一組成の膜の濾過特性を比較した結果、いずれの膜も約1.7nmの分子サイズを有するビタミンを100%阻止できるにもかかわらず、傾斜構造膜では水の流束が2倍に増加した。膜の組成については、中性子反射率測定、ならびにTOF-SIMSの深さ方向分析によって評価し確認している。 カーボン膜の機能性向上のため、窒素原子を導入するだけで無く、酸素やホウ素など様々な原子の導入を試みた。その結果、分子構造に導入された酸素やホウ素によって、膜の親水性が増加し、分離機能特性の改善に成功した。以上の結果により、カーボン膜の細孔サイズだけで無く、膜の組成・構造もナノ空間の液体透過と密接に関連していることを明らかにした。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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