2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機薄膜の光学設計自由度の拡張による高効率有機半導体デバイスの追求
Project/Area Number |
25708038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
横山 大輔 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (00518821)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 光物性 / 半導体物性 / 先端機能デバイス / 化学物理 |
Research Abstract |
本研究は、有機膜の配向制御・屈折率制御に関してこれまで独自に得てきた知見を最大限に活用し、有機半導体自身の光学物性制御という新たなデバイス設計自由度を導入することにより、有機EL・有機薄膜太陽電池等に代表される有機半導体デバイスの特性向上を目指すものである。 当初より予定していた研究実施計画に基づき、H25年度は(1)屈折率・導電性の制御、(2)精密な光学構造デバイスの作製を進めた。まず(1)について、有機半導体薄膜の屈折率を分子配向の利用、異種材料の混合等で大きく制御できることを確認した。また、ある程度の導電性を確保しつつ目的とする光学構造を構築できることが分かった。さらに、分子配向・共役系等以外の観点で、新たに膜の密度による屈折率制御も可能であることが明らかとなった。同じ材料でも膜の成膜プロセスによって膜の密度が変化するため、光学物性を変化させうる新たな因子となる。 続いて(2)について、膜厚誤差の極めて小さいデバイスを作製することができる新たな蒸着装置を設計・作製・導入した。光学構造をin situ測定によりモニタリングしつつ作製することで、膜厚を高い精度で確認しながら緻密な積層構造を作製することが可能となる。実際にin situ測定しながら有機半導体材料を蒸着して膜厚制御に関する評価を行い、単純な構造の場合、膜厚誤差を確実に1%以内に抑えることができることを確認した。モニタリングのための光学軸を確保するために特殊な内部構造を有しており、装置の設計・作製後も、実際に使用したときの結果をフィードバックしつつ少しずつ修正・改良を行ってきた。現在、残りわずかの修正を除きほぼ装置構造およびデバイス作製法が確立しつつある。 上記の成果を土台として、次年度以降、デバイス応用に向けた研究を本格的に進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したとおり、研究はおおむね順調に進展している。H25年度は当初から、次年度以降のデバイス応用へ向けた準備期間として位置づけており、それに見合った土台作りはほぼできたと考える。特に、新たに設計されたデバイス作製装置によって膜厚制御性に優れた成膜法を確立できたことは、今後の研究を円滑に進める上で極めて大きい。 また、この準備期間における研究を通じて、膜密度という有機半導体膜物性の制御に関する新たな重要観点を付随的に見出すことができた。これにより、当初の予定以上に膜物性を制御するための自由度が広げることができつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進展しているため、当初の予定に沿った形で研究を推進していく。つまり、本研究開始以前の研究成果、およびH25年度の研究により確立されてきたデバイス作製法・膜物性制御法を用いて、実際の有機半導体デバイスの特性向上に向けた研究を進めていく。
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