2014 Fiscal Year Annual Research Report
有機薄膜の光学設計自由度の拡張による高効率有機半導体デバイスの追求
Project/Area Number |
25708038
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
横山 大輔 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (00518821)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 非晶質 / 超低屈折率 / 有機EL / 光取り出し効率 / 光学設計自由度 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は前年度に新たに設計・作製した蒸着装置を用いて有機半導体薄膜の屈折率制御を行い、さらにその薄膜を非晶質有機半導体デバイスに導入して光学設計自由度の拡張とデバイス特性の向上を試みた。国際的にも報告例のない新たな構想により有機半導体デバイスの特性向上をねらう研究であり、これにより有機半導体を用いた光デバイスの基礎を全体的に底上げすることを目指している。 まず当初より予定していた研究実施計画に基づき、H26年度は、非晶質有機半導体薄膜の大幅な低屈折率化を行い有機ELデバイスの光取り出し効率を向上させる研究を推進した。これまでの過去の研究から、当初は薄膜の低屈折率化を促すために有機半導体材料に絶縁物である低屈折率材料を混合すると大幅に薄膜の導電性が損なわれることを予想しており、実際に本研究計画においても、導電性の低下を見込んだ上で低屈折率層を有機ELデバイスの発光層に限定的に用いることを想定していた。しかし、低屈折率化を促しつつ導電性が損なわれない(むしろ向上する)材料の組合せを新たに見出し、過去に報告例のない「超低屈折率有機半導体電荷輸送層」を開発することに成功した。その屈折率はガラス基板の屈折率1.52より低く、これを用いることで非晶質有機半導体デバイスの光学設計自由度を飛躍的に高めることができると期待される。実際にこの膜を有機ELデバイスの正孔輸送層として用い、光取り出し効率の向上を実証することにも成功した。また、異なる観点の研究として、前年度に引き続き膜密度と配向の違いによる屈折率制御についても研究を進め、成膜プロセスと光学物性との間の関係性を明らかにしつつその制御範囲について示した。 上記の成果を基に、次年度以降デバイス応用をさらに進め、本研究構想の原理確認とともに、デバイス特性の飛躍的な向上を実証する応用研究を本格的に進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したとおり、想定以上の極めて重要な研究成果も得ることもでき、研究は当初の計画以上の進展を見せつつある。この成果は、国際的にも例のない新規構想に基づくものであり、かつ局所的な応用に留まらない汎用性高いものである。また、有機ELデバイス等への応用という具体的な出口も明確であり、今後のさらなる発展が期待できるため、その達成レベルは高いと考える。一方で、それを得るために費やした労力も大きく、雑誌論文としての成果発表はH27年度に行うことを予定しており、その点のみがやや遅れている。以上をふまえ、全体的には「おおむね順調に進展している」ものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は大きく進展しつつあり、当初の想定以上の貴重な成果も得られているため、一部計画を修正し、本年度新たに開発に成功した「超低屈折率有機半導体電荷輸送層」の応用研究に重点を置き研究を進めていく。これまでの2年間の研究により確立してきた膜物性制御法を活用しつつ、特に有機ELデバイスの光取り出し効率の飛躍的な向上を目指して研究を推進する。また、雑誌論文としての研究成果の公表を急ぐ。
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Remarks |
有機EL討論会第18回例会(2014年7月) 講演奨励賞 受賞者:柴田真希(指導学生) 日本化学会第29回若い世代の特別講演会(2015年) 受賞者:横山大輔
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