2013 Fiscal Year Annual Research Report
次世代蓄電技術における界面および多孔体内輸送特性最適化のための基盤構築
Project/Area Number |
25709007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古山 通久 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 教授 (60372306)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 蓄電池 / 分子動力学 / 連成シミュレーション / イオン輸送 / 他後退 |
Research Abstract |
再生可能エネルギーの大規模導入に向けて、蓄電・周波数変動対応の観点から蓄電池の高性能化・低コスト化が重要である。本研究では、特に多孔構造の最適化の観点から研究に取り組む。具体的には、合理的多孔質電極設計のための基盤技術を確立するとともに基盤技術を活用しリチウムイオン二次電池など蓄電池の高性能化に向けた構造設計指針を提示することを目的として下記の課題に取り組んだ。 1)ナノ界面の構造と電荷移動プロセスに伴う抵抗解明のための基盤技術の構築 2)複雑な多孔構造のモデル化および多孔体内の輸送現象・界面電荷移動を考慮した電極特性シミュレータの開発 1)の課題に関する取り組みの成果としては、SEI中におけるイオン輸送特性に関して分子動力学法を用いた解析を行った。無機・有機層を代表するモデルを用いて拡散係数を見積もることに成功した。具体的には、無機層であってもアモルファスの結晶構造であったり粒界面における拡散特性はバルク結晶と比して大きいとの示唆を得ることができ、無機層であっても構造によっては一定のイオン輸送が見込まれることがわかった。 2)の課題としては、多孔構造を顕わに取り込んだ連成シミュレーションのための構造モデリング技術と連成シミュレータとの連係に向けた課題を明らかにし、連係に着手した。具体的には、導電助剤と活物質のモデル化技術を高度化するとともに、複雑多孔構造モデルに基づく連成シミュレーションのため、要素メッシュ化のための手法の基礎アルゴリズムを考案し、プロトタイプ開発に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
界面におけるSEI中の輸送問題はその原子レベル構造が不明であることから推定が容易でなかったが、本研究でのボトムアップ的アプローチにより、想定される拡散特性について予測する基礎を得ることができた。 また、複雑な多孔質電極中のイオン輸送特性については、その多孔構造のモデル化技術が存在していないことから実現されていなかったが、本研究では実構造を反映したモデル化および実構造を模したモデル化の両面から目途がついており、当初計画に沿った進展と言うことができるため。
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Strategy for Future Research Activity |
方法論についておよその目途が立ってきたため、手法の開発を継続するとともに関連する民間企業や実験研究者との議論を重ねながら実践的な方法とすべく課題応用を展開する。課題連携が可能な企業3社程度とは定期的な議論が可能であり、意見を反映させながら進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大容量メモリ計算機サーバーの購入に際し、計算機サーバー技術の進展があり、十分な性能が想定よりも安い価格で実現できることがわかった。また、本年度は方法論の開発であり、ベンチマークに必要なメモリ量までの購入とし、次年度の本格稼働期に増設した方がよいことが具体化したため。 次年度の夏ごろにメモリを最大まで(現状の4倍程度)大幅増設するために使用する。
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Research Products
(4 results)