2013 Fiscal Year Annual Research Report
一次元連結ハイブリッドドットのキャリア輸送・保持制御と高効率発光デバイス創成
Project/Area Number |
25709023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
牧原 克典 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90553561)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子ドット |
Research Abstract |
初年度は、一次元縦積み連結Si系ドットを低密度形成し、個々の連結ドットにおける帯電状態および連結ドット内での電荷移動をAFM/KFMにより定量評価し、上部ドットに単一電子注入した場合、一旦上部ドットにおいて保持された後、下部ドットに移動し、下部ドット内で安定保持されることが分かった。 具体的には、導電性AFM探針にTipバイアス-1.5Vを印加して、孤立形成した連結ドット(200nm×200nm2の領域内)を表面走査した後の表面電位像には、Tipからドットへの電子注入に起因した負帯電(電位変化量:-150mV)が認められた。一方、単一Si量子ドットでは、同条件で表面電位を計測した場合、表面電位変化量は-40mV程度であった。単一ドットにおいて、等価回路を用いて電位変化量から見積もった保持電子数は1個であることから、連結ドットにおける大幅な電位変化量の増大は、上部ドットへの単電子注入・保持を示唆する。また、電子注入後、表面電位像の経時変化を測定した結果、連結ドットにおける負帯電領域の表面電位は、25分程度までは安定に保持されるものの、30分後の測定では、-50mVに低減しており、その後80分以上安定であることが分かった。これに対し、単一Si量子ドットでは、電子注入後における初期表面電位変化量が安定に保持される。これらの結果から、連結ドットにおける表面電位の経時変化は、電圧印加直後に表面側の上部ドットへ注入された電子が一時的に保持されるものの、チャージングエネルギーがより低い基板側の下部ドットへ移動して安定化する結果として解釈できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請では、サイズおよび価電子を精密制御したIV半導体ナノ結晶(ドット)を自己整合的に一次元縦積み連結することで、一次元トンネル接合シリコン/ゲルマニウム量子ドットを創成し、接合ドット系固有の電子物性やこれに付随する新規機能を実験的に明らかにすることを目指している。初年度では、Si系量子ドットの一次元縦積み構造の形成技術を確立するとともに、形成した連結ドット内における電荷保持・輸送特性を実験的に明らかにしていることから、おおむね順調に巣親展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、GeコアSi量子ドットの一次元トンネル接合構造形成と電荷保持・輸送特性評価を定量評価し、平成27年度では、金属ナノドットと半導体ドットで構成したハイブリッドドット構造を新奇に作成し、キャリアダイナミクスを精査するとともに、高効率キャリア注入とキャリア閉じ込めを両立できる構造において、光物性制御および機能探索を進め、高効率発光デバイスを創成する。
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