2014 Fiscal Year Annual Research Report
地盤震動評価法を変革する新しい物理量NEDの現地計測
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25709039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 浩之 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70452323)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地盤震動 / 物理探査 / 地震工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,地盤震動特性に関わる重要なパラメータであるS波インピーダンスを原位置で測定する手法を構築し,実際に現地で計測することを目的としている.地表に設けた円盤を鉛直に調和振動加振し,その応答特性を利用することでS波インピーダンスを測定する方法を提案しているが,昨年度(平成26年度)は測定装置のプロトタイプ製作を目標としていた.装置はシステムとして概ね完成し,屋外の実地盤上で円盤にかかる荷重と円盤の上下動加速度記録を得ることに成功した.一昨年度までに構築した理論によれば,加振周波数を上げると加振速度と荷重の位相差が減少しゼロとなる周波数が存在することが示されているが,実記録も同様に位相差が減少しゼロとなる周波数を捉えた. また,S波インピーダンスを測定するフィールドとして,2011年東北地方太平洋沖地震において地盤震動によるもとのみられる構造物被害が顕著であった宮城県大崎市と福島県浪江町を取り上げ,高精細な表層地盤調査を実施した.両地域で高密な余震観測と,より高密度な常時微動測定の双方を実施し,面的な表層地盤の構成を推定したところ,表層の柔らかい堆積層が深さ10-30mまで存在することを確認した.いずれの地域も対象フィールドとしてふさわしいが,装置の運搬等を考慮して,大崎市古川地区を対象フィールドに選定した. 平行して進めていたNEDに関する理論的研究では,地盤増幅特性の2層系伝達関数による級数展開が離散データでも成立することを確認し,実観測記録を用いて地盤振動特性のばらつきのモデル化に適用できる可能性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に予定している原位置でのS波インピーダンス測定を行うための準備として,実地盤上での装置の駆動テスト,理論の整備,および対象フィールドの選定が完了している.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに組み上げた測定装置を利用して,対象フィールドで実際にS波インピーダンスの測定を試みる.対象地点の実際のS波インピーダンスと比較して検証を行うため,必要に応じて速度検層などの物理探査も加えて実施する.ただし,駆動テストを行ったサイトでは,測定装置の加振周波数レンジで加振速度と地盤反力の位相差がゼロとなる周波数が存在したが,この速度が対象地盤のS波速度に依存するため,原位置では加振周波数レンジに表れない可能性も考えられる.このため,駆動部の機構を改良し,より高い周波数域で加振できるよう対処することも検討している. また,地盤震動特性とNEDとの関係を理論的に整理し,実際の地震観測記録を用いてNEDによる地盤増幅度の評価方法について検討する予定である.さらに,地盤震動特性に含まれるばらつきを評価する方法を確立することを目的として,地震動のコヒーレンスモデルに着目した理論的研究も行う予定である.
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Causes of Carryover |
装置製作に必要な物品の選定が遅れたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
必要な物品の選定を迅速に行い,今年度装置に組み込み使用する.
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