2014 Fiscal Year Annual Research Report
体積変化に起因したコンクリート中不均一損傷がRCはりのせん断特性に与える影響評価
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25709040
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三木 朋広 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30401540)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ASR / 微細ひび割れ / 初期応力 / 弾性係数 / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、コンクリートの体積変化に起因した初期応力や過大な体積変化に伴って生じる不均一な微細損傷が、コンクリート部材のせん断破壊性状に与える影響を明らかにすることを目的とする。本年度は、様々な収縮量や膨張量のコンクリート供試体の曲げ試験を行い、破壊力学特性値、特に引張軟化曲線と破壊エネルギーを測定し、さらにアルカリシリカ反応によって生じたひび割れがコンクリートの圧縮破壊挙動に与える影響を実験的に調べて、コンクリート中の不均一な損傷がコンクリートのひび割れ進展挙動に与える影響について検証した。得られた成果は以下の通りである。 成果1 コンクリートに作用する応力を測定するために、円孔周辺の応力集中に伴うひずみ分布を測定し、円孔の直径が10mmならびに20mmのケースで応力測定が可能であること、そのときの測定誤差は8%以下であることを確認した。 成果2 骨材の位置や分布を変化させた解析によって、外圧作用下での測定では骨材の位置や分布が測定結果に影響するのに対して、円孔内側から膨張圧を加えた場合の測定結果には骨材の影響は小さいことがわかった。 成果3 アルカリシリカ反応によるひび割れについて、ひび割れ面積をひび割れの長さで除した「平均ひび割れ幅」が破壊エネルギーに与える影響が大きく、平均ひび割れ幅が大きいと引張破壊エネルギーが小さくなる傾向にあることを確認した。 成果4 アルカリシリカ反応によりひび割れが生じたコンクリートの圧縮載荷試験によって、ひび割れの方向ならびに形状によって、圧縮力によって生じる鉛直方向のひび割れの開口挙動が異なり、その結果、圧縮強度が異なることを確認した。また、各方向別に整理したASRひび割れの長さや面積と静弾性係数との相関から、斜め方向のひび割れの長さ、ならびに水平方向と斜め方向のひび割れの面積が静弾性係数と高い相関を有することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であった「コンクリート中の不均一な損傷がコンクリートのひび割れ進展挙動に与える影響の検証」はほぼ計画通り達成することができた。得られた成果をまとめた論文をJCI年次論文、ならびにPCシンポジウム論文集に投稿できた。また、「アルカリシリカ反応によりひび割れが生じたコンクリートの圧縮破壊挙動に関する研究」については、2014年度コンクリート工学会近畿支部「奨励賞」を受賞が決定しており、その独創性、萌芽性及び将来性について評価を受けている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、申請計画のとおりRCはり中コンクリートの初期応力を把握した上で、RCはりの載荷実験を系統的に実施する。微細ひび割れの観察および画像解析に用いるマイクロスコープ、ならびに温度湿度を制御できる環境試験槽は既に導入済みであり、実験測定環境は既に整っている。これらを用いて、初期応力の大きさや分布を様々に再現した一連の実験から、それらが斜めひび割れ発生荷重やせん断耐力に与える影響を調べていく。
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Causes of Carryover |
物品費、旅費はそれぞれほぼ当初の予定通り執行したが、物品費のうち、供試体作成費ならびにひずみゲージ購入費について、実験計画に即して使用材料等の使用量を最適化した結果、若干費用を抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の研究成果を広く発表していくために、国内旅費について若干増額し予算執行していく予定である。
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