2014 Fiscal Year Annual Research Report
BIMを用いた建築設計情報のゲノム化と情報遺伝によるフロントローディングの実現
| Project/Area Number |
25709051
|
|---|
| Research Institution | Yamaguchi University |
|---|
Principal Investigator |
樋山 恭助 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (10533664)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | BIM / 建築環境・設備 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、シミュレーションに利用するデフォルト設定値の最適化アルゴリズムの開発を続けた。この研究の中で、設計条件と設計変数の最適化結果との関連性の感度解析を実施した。結果、シミュレーションに求められるデフォルト設定値となる設計変数によっては、建物仕様（断熱等級等）に高い感度を示すものと、設計条件（立地環境等）に高い感度を示すものが存在することが発見された。例えば、換気計画の効果を評価するための指標となる自然換気回数は、建物仕様と比較し、気象条件に大きな感度を有する。このため、計画段階から、気象条件からデフォルト設定値の最適化を図るアルゴリズムを組むことが可能である。今年度の成果の一つとして、この自然換気回数のデフォルト設定値導出のアルゴリズムを構築した。この際、初期設計段階において利用可能な情報とするには、提示したデフォルト設定値の合理性が重要となる。上述の自然換気回数に関しては、自然換気回数の向上に伴う冷房負荷削減効果の向上の傾斜が最大となるポイントを、目標自然換気回数を定義し、この目標換気回数をデフォルト設定値とすることを提案した。ほか、ケーススタディを通した情報整理を実施した。上述の自然換気回数に関しては、一国内に多様な気象条件を有する米国を対象とし、気象条件のみを変数としたデフォルト設定値の導出を行い、マップとして整備した。このマップにおいて、立地条件毎でデフォルト設定値から、その立地環境における自然換気計画の方向性を確認することが可能であり、本研究が目的とする情報遺伝による建築環境性能の向上を議論するために有意義な情報を提供するものとなることが確認できた。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は設計初期段階で建築環境シミュレーションを実施する際に必要となるデフォルト設定値の適正化を目指すものである。本年度の成果の一つとして、建築環境性能を大きく左右するデフォルト設定値の一つとなる自然換気回数のデフォルト設定値の最適化アルゴリズム構築と資料整理を達成しているように、研究目標の達成に向けて着実に研究成果が出力されてきている。
|
| Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、種々のデフォルト設定値に対して最適化アルゴリズムを検討する他、デフォルト設定値の資料整備を進める。また、建築の環境性能を総合的に評価可能とするため、多目的なシミュレーションツールを設計初期段階に有機的に結合する計算ロジックの開発を並行して進める。
|
| Causes of Carryover |
他の研究予算等による計算機資源の購入等により、当初支出を予定していた経費の支出を抑えることが出来たため、次年度以降に使用する経費として繰り越した。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究の対象となる目的別の種々のシミュレーションに拡張するために必要となるシミュレーションソフト・計算機購入費として使用するほか、シミュレーションに必要となるデータの調達費用、大学院生を確保し研究体制を充実するために必要となる人件費、研究打ち合わせや情報収集、成果広報の旅費として使用する。
|
