2016 Fiscal Year Annual Research Report
BIMを用いた建築設計情報のゲノム化と情報遺伝によるフロントローディングの実現
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25709051
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
樋山 恭助 明治大学, 理工学部, 准教授 (10533664)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | BIM / 設計資料 / エネルギーシミュレーション / 基本計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、設計初期段階におけるシミュレーションを用いた環境性能評価を実現するため、そのデフォルト設定値の適切な入力を支援するシステムの構築を目的としている。計画当初に最終年度と位置付けた今年度は、研究成果の社会普及に向けた具体的な成果物として、種々のデフォルト設定値の整備を実施した。建築設計初期段階でシミュレーションにより環境性能を検討する際に特に大きな影響を及ぼす要素として、窓配置と自然換気計画があげられる。これらが仕様検討の設計変数とならない場合には、これらの暫定値(デフォルト設定値)がその仕様検討結果の精度に大きな影響を与えることは勿論のこと、設計変数となる場合も、迅速な意思決定が求められる設計初期段階において、より的確な初期設定値の導入により、最適解の導出時間を短縮することの効果は大きい。窓配置に関しては、建築設計者が窓面積率の適切なデフォルト設定値の選択を可能とするよう、範囲を持たせた窓面積率の推奨設定領域を提示する設計資料を、日本を対象に整備した。本設計資料を基に、建築設計者は設計条件や立地環境に合わせ、最適な窓面積率の傾向(ガラスファサードorポツ窓の良否等)を判断することが可能であり、不適切なデフォルト設定値の採用による設計の後戻りを防止できる。今回は仮想建築物のシミュレーションデータを用いて設計資料を整備したが、BIMによる建築情報のデータベースが整備されることで、本研究が開発したロジックで統計的な資料整備が可能となる。自然換気計画に関しては、自然換気の目標換気回数をそのデフォルト設定値として、設計条件と立地環境毎に設定できるよう、同じく日本対象に設計資料を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の最終年度として、研究成果を実務において活用が可能な形に展開し、その整理を進めることができた。これらの成果は対外発表(主に学術雑誌での発表)等により第三者が利用可能な形に整備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究成果を社会に普及させるためには、システムの構築に留まらず、建築物における環境性能の最適化を建築計画段階から実施するといった建築設計プロセスの変革が必要であり、今後、この建築設計プロセスの提案と普及展開に資する研究の推進を計画する。
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Causes of Carryover |
他の研究予算等による必要機材の購入により、当初支出を予定していた経費の支出を抑えることが出来たため、次年度以降に使用する経費として繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究が対象とする環境性能を考慮した建築設計プロセスの構築に向け、最新のシミュレーションソフト・計算機購入費として使用するほか、シミュレーションに必要となるデータの調達費用、大学院生を確保し研究体制を充実するために必要となる人件費、研究打ち合わせや情報収集、成果広報の旅費として使用する。
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