2015 Fiscal Year Annual Research Report
海陸風循環が沿岸都市の都市気候形成に及ぼす影響の包括的研究
Project/Area Number |
25709053
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川本 陽一 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 助教 (70569730)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 建築環境・設備 / 地球・都市環境 / 都市気候 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市化の進展により多くの都市で局所的な気候変動が起こっており、都市気候問題として顕在化している。都市気候は都市の存在に起因する局所的な気候変動であり、ヒートアイランド現象、大気汚染、そしてゲリラ豪雨と俗称される都市部での短時間強雨等が含まれる。 平成27年度は夏期を対象に、北九州・福岡大都市圏の中核である福岡県福岡市に位置し、博多湾の海岸線より約6kmの距離にある九州大学大橋キャンパスに於いて、都市上空の風環境の観測を行った。観測にはリモートセンシング機器のドップラーライダを用いて、細かい時間分解能で都市上空の風環境の観測を行った。 ドップラーライダによる上空の風環境の観測では、博多湾より進入する海陸風循環による流れ場の変化を詳細に捉えることが出来た。海陸風循環は沿岸都市の都市気候形成や大気汚染物質の輸送過程に多大な影響を及ぼすため、その挙動を正しく評価する必要がある。日本の首都である東京首都圏では1980年代以降、大気汚染物質の輸送やヒートアイランド現象のメカニズム解明のため、上空の風環境や熱環境の観測が行われてきた。しかし日本第4の都市圏である北九州・福岡大都市圏に於いては上空の観測データは限られており、本研究による観測データの蓄積は意義がある。 北九州・福岡大都市圏での海陸風循環の詳細なメカニズム解明のため、観測期間を対象とした数値シミュレーションを並行して行った 。観測結果と数値シミュレーション結果の比較による検証については未だ不十分な点が残るため、平成28年度に継続して行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに観測及び数値シミュレーションを行い、北九州・福岡大都市圏の中核である福岡市上空の海陸風循環に関して、知見を蓄積した。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成28年度は、ドップラーライダを用いた都市上空の風環境のデータを蓄積すると共に、数値シミュレーションにより北九州・福岡大都市圏の都市気候のメカニズムについて明らかにする。
|
Causes of Carryover |
平成26年度に予定していた観測が、機器故障のため計画を変更した。その影響により、基金より支出を予定していた消耗品や人件費による支出が後ろ倒しとなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度である平成28年度の観測に於いて、消耗品や人件費として支出する。
|