2013 Fiscal Year Annual Research Report
低温還元熱処理による高保磁力の3d遷移金属規則合金微粒子の創製
Project/Area Number |
25709055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤枝 俊 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60551893)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金属物性 / 磁性 / ナノ材料 |
Research Abstract |
ポリオールを用いた液相法でFe濃度を制御してFeNi水酸化物微粒子を合成した後、それに水素ガス雰囲気下で還元熱処理を施すことにより任意の組成のFeNi合金微粒子が得られる。還元熱処理前のFeNi水酸化物微粒子のサイズは数十nm程度であるが、還元熱処理において粒子が焼結するために、還元熱処理後のFeNi合金微粒子のサイズは数百nm程度に粗大化する。そこで、本年度は、FeNi水酸化物微粒子にポーラスシリカを被覆することにより、還元熱処理による粒子の粗大化の抑制に取り組んだ。具体的には、逆ミセル法により粒子の表面でオルトケイ酸テトラエチルの加水分解を引き起こしてFeNi水酸化物微粒子をポーラスシリカで被覆した。X線回折測定により、ポーラスシリカで被覆した後でも、水素ガス雰囲気下で熱処理を施すことによりFeNi水酸化物をFeNi合金に還元できることが明らかになった。また、TEM観察により、還元熱処理後におけるFeNi合金微粒子のサイズは数nmで、それぞれの粒子はシリカで被覆されていることが確認された。さらに、磁化測定を行った結果、ポーラスシリカで被覆して作製したFeNi合金微粒子は室温において超常磁性を示すが、ブロッキング温度以下の低温では被覆せずに作製したFeNi合金微粒子よりも遥かに大きな保磁力を示すことが明らかになった。つまり、還元熱処理による粒子の焼結を抑制してFeNi合金微粒子を作製することにより、保磁力を大幅に増大させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ポリオールを用いた液相法でFe濃度を制御してFeNi水酸化物微粒子を合成し、それに逆ミセル法でポーラスシリカを被覆した後、水素ガス雰囲気下で還元熱処理を施すことにより、焼結による粒子の粗大化を抑制して任意の組成のFeNi合金微粒子が得られる新規プロセスを開発することに成功した。今後の展開が期待できる成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄隕石の組織観察および計算によるとFe濃度が40 at%以上で350℃以下の低温領域では常磁性fcc相、強磁性fcc相、L10型相およびbcc相の形成が予測される。通常のX線回折測定では常磁性fcc相、強磁性fcc相およびL10型相の回折パターンに違いは殆ど無いがメスバウアースペクトルから得られる内部磁場および四極子分裂には各相に明確な違いがある。そこで、今後はメスバウアー分光測定を行い、そのスペクトルの解析によりL10型相の形成およびその割合を評価して、Fe-Ni二元系状態図におけるL10型相の安定領域を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進した事に伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額と合わせて、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)