2013 Fiscal Year Annual Research Report
放射光と自由電子レーザーを相補利用する多元的マルチスケール時空間X線イメージング
Project/Area Number |
25709057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 幸生 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00415217)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金属物性 / X線 / 放射光 |
Research Abstract |
走査型コヒーレントX線回折イメージング技術の高度化に関する研究を行った。具体的には、マルチスライスアプローチを用いた厚い試料に対する高分解能走査型コヒーレントX線回折イメージングの実証実験を行った。試料には、窒化珪素膜に白金を蒸着し、105umのギャップで張り合わせた二層構造体を用いた。各層にはそれぞれ集束イオンビーム加工によってナノ構造を加工した。コヒーレントX線回折パターンの測定は、大型放射光施設SPring-8の理化学研究所専用のビームラインBL29XULにて行った。Si(111)の二結晶分光器によって7keVに単色化されたX線を全反射集光鏡によって約500nmのスポットに集光し、試料に照射した。そして、試料からの前方回折強度パターンを直接撮像型CCD検出器で測定した。実験で得られた回折強度パターンにマルチスライスアプローチを用いた位相回復アルゴリズムである3PIEを実行した。その結果、二層の像がそれぞれ空間分解能50nm程度で再構成された。これは、投影近似によって制限される分解能である192nmを遥かに凌駕しており、マルチスライスアプローチが厚い試料の高分解能観察に対して極めて有効であることが実証された。また、X線自由電子レーザー施設SACLAを用いたシングルショット回折イメージングの実験も行い、金属ナノ粒子の粒形分布とナノ組織の複合分析ができることを実証した。これらの結果を論文の形にまとめ科学雑誌に投稿し、掲載された。また、研究成果をプレスリリースし、科学新聞や日経産業新聞に掲載されるなど、広く社会の関心を集めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であるSPring-8での走査型コヒーレントX線回折イメージングの実証実験に成功したことに加え、X線自由電子レーザーを用いたシングルショット回折イメージングの実験にも成功し、どちらも論文化したため。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチスライスアプローチを用いた走査型コヒーレントX線回折イメージングによる三次元像の再構成法の開発や、ホログラフィックマスクを用いた高分解能・高感度走査型コヒーレントX線回折イメージングの開発を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で、必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。 研究で必要な消耗品費や学会等の国内旅費として使用する。
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