2013 Fiscal Year Annual Research Report
オーステナイト系耐熱鋼の強度に及ぼすγ-Fe母相/Fe2Nb強化相界面の役割
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25709065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 尚記 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70432523)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 耐熱材料 / 金属間化合物 / 異相界面 / 粒界析出強化 / クリープ |
Research Abstract |
(A)γ-Fe/Laves相界面の構造解析 本年度では, 800℃/240時間時効を施したFe-20Cr-30Ni-2Nb (at.%)鋼における粒界に析出したFe2Nb Laves相(六方晶C14構造)とγ-Fe母相(fcc)の方位関係を,電子線後方散乱回折(Electron Back Scattered Diffraction: EBSD)法を用いて調査した.方位差15°以上の大角粒界に析出したLaves相は粒状の形態を示し,粒界を挟んだ片側のγ-Fe相のみ(0001)C14 //{111}γ 及び [1-100]C14 // <01-1>γ の方位関係を有する.方位関係を有するLaves相/γ-Fe相界面は,方位関係を持たない界面に比べて平滑である傾向を持つ.また,双晶境界(方位差60°,粒界面(111))に析出したLaves相は幅1 μm以下のプレート状であり,単一の方位を有する.その方位は,粒界を挟んだ両方位のγ-Fe母相と(0001)C14 //{111}γ 及び [1-100]C14 // <01-1>γ の関係を有する. (B)γ-Fe/Laves相界面の引張強度測定及び界面近傍における変形挙動のその場観察 本年度ではLaves相の粒界被覆率 (ρ) が平均で43 %のFe-20Cr-30Ni-2Nb (at.%)多結晶体における粒界近傍の室温引張試験SEM内その場観察を行った.γ-Fe母相の各粒内に最大のシュミット因子に対応するすべり線が認められ,ひずみ増加に伴い顕著になる.粒界近傍では局所的に変形が進行する.特にLavess相により被覆された粒界近傍は結晶方位がより大きく変化する.以上より,Laves 相による粒界被覆は隣接する粒へのすべり変形を抑制する
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(A)に関しては,γ-Fe母相の粒界に析出したLaves相の方位関係を明らかにし,本年度以降の基礎データを取得した。本年度以降には,γ-Fe母相/Laves相界面の構造を調べ,析出に伴う界面構造の変化を明らかにする予定である.(B)に関しては予定より前倒しで,Laves相で被覆された粒界近傍のSEM内その場観察を行っている.来年度以降は本実験を継続し,双結晶の試験片作製を行う予定である。また,来年度予定の「(C)γ-Fe/Laves相界面の圧縮強度測定」に必要な装置を準備する
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Strategy for Future Research Activity |
(A)Fe-20Cr-30Ni-2Nb鋼の800℃時効に伴うLaves相の粒界析出に伴うγ-Fe/Laves相界面構造の変化を調べる.本鋼の800℃/240h 時効材の粒界におけるγ-Fe/Laves相界面を,透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて,界面転位及び原子構造の観点から観察する.先ず,Laves相とγ-Feの幾何学的関係が明確な双晶境界に析出したLaves相とγ-Fe相の界面構造を調べる.その後,大角粒界におけるLaves相(異なる析出形態)と γ-Fe相の界面構造を調べ,双晶境界のものと比較する. (B)弱加工及び高温熱処理を組み合わせ1mm以上の結晶粒径を有する試料を作製し,ゲージ部が単一の結晶粒界を含む引張試験片を作製する.先ずは双晶境界(Laves相の粒界被覆率 100%)をゲージ部に含む試験片のSEM内引張試験を行い,γ-Fe/Laves相近傍のその場観察を行う.また,応力軸と粒界面の角度が異なる複数の試験片の破断強度を測定することによって,γ-Fe/Laves相の界面強度を実験的に測定する.その後,集束イオンビーム(FIB)加工装置を用いて変形部のTEM観察試料を作製し,変形後のγ-Fe/Laves相界面と転位を観察する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の物品(ソフトウェア)は学内ライセンスを持っていたため,購入の必要がなく、経費が抑えられたため。 来年度の物品購入費に使用予定である。
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Research Products
(4 results)