2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25709077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高垣 敦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30456157)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 固体酸触媒 / バイオマス / 金属酸化物 / 脱水反応 / エピ化 / 反応機構 / 糖類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、酵素触媒や均一系酸触媒では実現困難な、固体酸触媒による高選択的糖変換プロセスの構築を目的としている。今年度は、①糖アルコールの水中環化脱水反応における速度論解析、および②単糖類のエピ化における反応機構の解明を主に実施した。 ①糖アルコールの水中環化脱水反応(1,4-環化脱水)においては、まず最もシンプルな化合物として、1,4-ブタンジオールを用いて、速度論解析を行った。固体酸触媒としては、層状ニオブモリブデン酸化物プロトン交換体(HNbMoO6)、ZSM5ゼオライト、Amberlyst-15イオン交換樹脂が活性を示した。ジオールの初濃度に対して、初期速度をプロットすると、これら3種類の固体酸は異なる挙動を示した。microkineticsにより解析したところ、活性錯合体の自由度は、層状HNbMoO6ではほとんどゼロ、Amberlyst-15では1次元の並進運動のみ、そしてZSM5では2次元の並進運動としたときに、頻度因子Aが実験における値とほぼ一致した。 ②単糖類のエピ化においては、層状ニオブモリブデン酸化物のリチウム体、プロトン交換体のいずれもが高い活性および選択性を示し、2-3時間以内でほぼ平衡に達することがわかった。Li体における活性サイトは表面のMoであり、結晶構造により表面Mo種を算出し、ターンオーバー速度を計算したところ、非常に高い値を示した。また、活性化エネルギーは、既往の均一系Mo酸化物、Mo系ヘテロポリ酸よりも低く、優れた触媒であることがわかった。またNMR測定により、本反応がC-C骨格異性化により進行することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、糖アルコールの脱水反応や糖類のエピ化において、優れた触媒を見出し、それらの反応機構について明らかにしてきた。また、外部での発表も行ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見を元に、多糖類からエピマーのワンポット合成や、環化脱水反応とエステル化あるいは水素化反応を組み合わせた反応などに応用展開する。 また、固体酸性、層間距離、親疎水性制御などにより、さらに高い選択性を実現できる触媒を開発する。
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Causes of Carryover |
研究補助員の雇用に係る経費を予定していたが、今年度は研究の遂行に必要な物品の購入を優先させた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、研究加速のため人件費に充てる。
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Research Products
(12 results)