2014 Fiscal Year Annual Research Report
レーザアブレーションプラズマを用いた自然水の現場成分分析手法に関する研究
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25709084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
ソーントン ブレア 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (60526789)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海水他元素分析 / LIBS / プラズマ発光 / レーザ |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザーアブレーションプラズマを用いて、リアルタイムに濃度が変化する自然水の物理元素を定量的に現場分析できる手法の開発を行っている。今年度は、現場化学分析センサの開発に関しては、実験室でのセンサに関する評価試験において、時間分解を有する分光計測装置を開発し、これを用いて50ナノ秒の時間分解を持つ、連続的な発光計測実験を行った。上記実験室における評価を踏まえ、改良を加えた現場化学分析センサを用いて、実海域における計測試験を2014年12月に実施した。実海域調査に関しては、3000m級の現場型LIBS装置を1000mより深い伊平屋北海域において、アクティブな熱水噴出海域で他元素化学成分を定量解析するためのデータを取得することに成功した。 センサ開発・改良と同時並行して、取得したデータの解析手法の開発に取り組んだ。自然水では、得られるスペクトルにピークが少ないため、プラズマ現象を検出できず、定量評価できない場合がある。これを解決するために、レーザパルスの発光を同様に50ナノ秒の時間分解で計測できるシステムを開発し、レーザのバラつきの観測信号への影響を定量的に評価した。レーザのエネルギを一定にしても信号の値がばらつくことが分かり、得られた信号を用いて、観測信号をフィルタリングすることによって計測信号の誤差を少なくできる定量解析手法を開発した。本提案手法は、H27年度に、国際学会で発表することが決まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、計画していた時間分解計測を実施することに成功した。また、レーザのバラ付きによる計測への影響を解析し、計測誤差を軽減する手法を開発した。実海域調査において、解析するデータを取得することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度は、これまで取得した実海域データの定量解析を行う。また、レーザのバラ付きによって、計測信号への影響を定量的に解析することができたが、レーザのバラ付きだけで説明できないバラ付きの要素が残ることが、時間分解を有する分光計測とレーザ時間分解プロフィール計測の結果から明らかになった。このため、最終年度では、より高精度な他元素分析を実現するため、プラズマ発光をトリガーとしたスペクトル計測手法を開発する。LIBS計測では、レーザを打つタイミングを元に、スペクトルを観測するのが 一般的だが、これまでの研究でレーザそのもののバラ付きによって、プラズマが発生するタイミングその物が変わることがわかり、一定のタイミングで最適な計測を行うことができない。そこで、昨年度の研究では、時間分解を有するプラズマ計測システムを開発し、その有効性を示したが、時間分解を有するセンサ及び記録回路は、チャンネルの数が限られるため、広い班長範囲において他元素分析を行うには、波長分解能がすくない問題がある。このため、本研究では、プラズマの発生のタイミングを時間分解計測するシステムを開発し、発生のタイミングそのものをトリガーとし、従来の分光計測システムを用いて広い波長範囲において、プラズマ発光を分校計測するシステムを開発する。これによって、プラズマ発光を基準としたタイミングで計測することが可能となり、発光時間のバラ付きの影響が軽減できるため、より高精度で安定的な他元素分析が実現できると考える。
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