2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機無機ハイブリッド材料を用いたX線検出用テーラーメイドシンチレータの開発
Project/Area Number |
25709088
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
越水 正典 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40374962)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | シンチレータ / ナノ粒子 / 有機無機ハイブリッド / ゾルゲル法 / 超臨界合成 |
Research Abstract |
今年度には、ハフニウム系酸化物を添加したプラスチックシンチレータの開発に成功した。特に重要なのは、同様の材料系を、2つの異なる手法により達成した点である。 一つは、ゾルゲル法によるone pot合成である。この場合、合成のステップ数はそれほど多くないため、簡便に材料合成が可能である。その反面、例えばナノ粒子表面の修飾などについては、精緻に行うことができない。しかしながら、実用に耐えうる透明性と、十分なハフニウム担持量とを実現することができた。さらには、X線検出特性を調査したところ、市販のX線検出用プラスチックシンチレータであるNE142を上回る検出効率と発光量とを実現することができた。このことは、本手法が有効であることを示している。 もう一つの手法は、ナノ粒子を合成後、プラスチック中に分散させる手法である。今年度には、超臨界水を用い、表面を有機分子で修飾したハフニウム酸化物ナノ粒子の合成に成功し、それをプラスチックに分散させることにも成功した。 これらはいずれも、既存の装荷型プラスチックシンチレータ以上のX線検出特性を示しており、本研究のアプローチが非常に有効であることが実証された。さらに、二つの独立した手法によるナノ粒子含有シンチレータ材料開発に成功したことにより、これ以降、残り2年間の開発期間において、この確立した合成手法をフルに活用することにより、異なる元素の酸化物ナノ粒子を含有したシンチレータ開発が可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に進展していると判断した根拠は、ただ一つ、2つの合成手法を確立し、その上で優れたシンチレーション特性が得られたという点による。ゾルゲル法などのone pot合成によるシンチレータ開発が、当初の今年度の課題であった。これは明確に達成された。のみならず、平成26年度に主に実施予定であった、ナノ粒子合成後のプラスチックへの導入という、2段階プロセスによるシンチレータ開発にも成功したことが、予想以上の進展である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進すべき課題は2点である。 1点は、多様な元素の酸化物の導入である。検出すべきX線エネルギーを弁別可能とするためには、K吸収端エネルギーの異なる元素のラインナップをそろえる必要がある。現段階で想定しているのは、ジルコニウム、スズ、タングステン、タンタルである。これらの酸化物での開発を今後のターゲットの一つとしたい。 もう1点は、シンチレータの大型化である。特に、熱重合法の効果的な利用により、1cm角以上の大きさまで、大型化を進める予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月の出張旅費が4月支払いとなったため。 4月には出張旅費として支出される。
|
Research Products
(5 results)