2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25710016
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 拓司 東京工業大学, 生命理工学研究科, 講師 (10437262)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / メタゲノム / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヒト腸内細菌が行う代謝反応経路データベースの構築及びそれを用いた腸内環境の定量化を目的としている。腸内代謝経路データベースの基盤構築、及び代謝経路中における遺伝子未知の反応に対する遺伝子予測ツールを構築することができた。特に腸内代謝経路データベースは詳細な文献調査にもとづいて構築されており、これまで登録されている既知の反応情報と比較して、その2倍以上の反応経路を本研究によりデータ化している。また、各反応を担う遺伝子情報についても文献情報から抽出しており、非常に精度の高いデータベースとなっている。このデータを利用して、これまでに報告されている健常人のヒト腸内細菌メタゲノム配列情報をマッピングしたところ、新規登録反応に多くの多様性を確認することができた。当該データベースはwebベースのデータベースとして公開予定であり、研究報告論文を準備中である。 今後は公開されている疾患患者の腸内細菌メタゲノム配列データを構築した腸内細菌代謝経路データベースへと実際にマッピングを行うことで代謝経路に注目した特徴抽出を行う。すなわち、肥満や糖尿病といった様々な疾病と特異的に関わっている代謝経路を見つけ出すことを目指す。 また、国立がん研究センターの協力により、独自に日本人の大腸がん患者及び前がん病変を持つ患者の糞便サンプルを得ることが出来た。新学術領域ゲノム支援の支援により、これらのサンプルのメタゲノム解析が進行中である。ここで得られた新規メタゲノム配列を構築した腸内代謝反応経路データベースにマッピングすることで、大腸がん患者に特異的に現れる腸内機能の違いを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画申請時に予定していた代謝反応データベースの構築は現在までに500の新たな代謝反応のモジュールが登録されている。これはこれまでに定義されている代謝反応モジュールの2倍であり、ヒト腸内代謝経路独自のデータベースとしては他に例を見ない。本データベースを公開するためのwebサーバーはすでに運用中であり、現在準備中の論文公開と同時に全て公開予定である。
また、遺伝子が未知の反応に対する2つの遺伝子予測アルゴリズムも確立した。本データベースには化合物の反応のみが登録されている反応が多くを占めており、その遺伝子配列予測により利便性は格段に向上した。一つはすでに論文報告を行っており、もう一つは現在投稿中である。
さらに、本研究を基盤として文科省新学術領域ゲノム支援の支援を受け、独自の腸内メタゲノムデータを得た。日本人の大腸がん罹患患者から得た糞便メタゲノムデータであり、構築した代謝反応データベースへのマッピングにより大腸がん罹患時の腸管環境状態を定量化できると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は公開されている腸内細菌メタゲノム配列データを構築した腸内細菌代謝経路データベースへと実際にマッピングを行うことで代謝経路に注目した特徴抽出を行う。すなわち、肥満や糖尿病といった様々な疾病と特異的に関わっている代謝経路を見つけ出すことを目指す。また、本年度に国立がん研究センターの協力により、独自に日本人の大腸がん患者及び前がん病変を持つ患者の糞便サンプルを得ることが出来た。新学術領域ゲノム支援の支援により、これらのサンプルのメタゲノム解析が進行中であり、その遺伝子配列及び機能アノテーションを現在行っている。本年度はここで得られた新規メタゲノム配列を構築した腸内パスウェイデータベースにマッピングすることで、大腸がん患者に特異的に現れる腸内機能の違いを明らかにする。
本研究において、日本人の腸内環境基盤データの作成を行うことができた。これにより、今後多くの研究機関や病院においてヒト糞便サンプルのリファレンスデータとなることが期待される。
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Causes of Carryover |
人件費として予定していたが、適切な人材の確保ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に本研究計画に適切な人材を確保できたため、その人件費として計上する計画である。
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