2016 Fiscal Year Annual Research Report
Live cell imaging-based estimation of information processing
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25710022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤井 哲 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20500367)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | タンパク質ネットワーク / 情報量 / ライブセルイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
時々刻々と変化する複雑な環境情報に対して臨機応変な出力を生み出す細胞の情報処理特性を明らかにする。真核細胞の走化性シグナル伝達を例にとり、微細加工流路による外部入力制御と単一細胞イメージングから高精度の時空間系列データを取得する。本年度は、これまで解析を進めていたRFPRaf-1RBDによる、Ras-Factinの動態解析に加えて、PakBCRIB-RFP/GFPを発現する細胞株による、Racの活性化についてライブセルイメージングから解析を進めた。細胞内の複数のシグナルを同時可視化し、かつ細胞外の刺激を可視化するために640nmレーザーを導入した。勾配への移動速度は、Rac活性の前後比が大きくなるほど増大する傾向にあるが、Ras活性の前後比との相関は見られない。また、Ras活性・Rac活性の前後比が大きくなるほど、細胞は勾配方向へ一方向的に運動する様子が読み取れた。細胞膜伸展は、膜上でのRac活性が確認されてから5秒~10秒後に生じ、Ras活性が確認されてから10秒~20秒後に生じた。また、勾配が緩やかになると、先導端マーカー輝度値の上昇から細胞膜の伸展までにかかる時間が長くなる傾向があった。さらに、3次元の形態解析をアクチン可視化プローブであるLifeactGFPを発現した株で行い、誘引物質の濃度勾配の向きを反転させた際の走化性遊走細胞単独の振る舞いについて生細胞タイムラプス解析を行った。膜の曲率と伸展速度の時間発展パターンから、向き変え時の形状変化として、新規先導端を形成する場合と、先導端を維持したまま旋回する場合とで、組み合わせ的に合計4つの類型が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞内シグナルの可視化によって得られるシグナルが微弱であり、かつ複数の因子を細胞内で同時可視化するために新たなレーザーの導入が必要であったが、この整備に予定以上の時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
RasやRacの活性局在と重心運動の相関解析を行い、特に浅い濃度勾配における走化性においても、前後活性の違いが大きいほど、走化性効率の値が大きいことが明らかになっており、この特徴を統計的、情報量解析から明らかにする。
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Causes of Carryover |
解析用のデータが増やせるまでの実験の条件だし、刺激操作系の開発に時間を要し、本格的な解析にまで至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析用の計算機パーツ並びに実験用試薬
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Research Products
(13 results)