2015 Fiscal Year Annual Research Report
スプライシング異常による未成熟mRNAの蓄積を防ぐチェックポイント機構の解析
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25711001
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
甲斐田 大輔 富山大学, 先端ライフサイエンス拠点, 准教授 (60415122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スプライシング / 転写 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年までの研究から、スプライシング阻害剤であるスプライソスタチンA (SSA)で細胞を処理すると、RNAポリメラーゼIIのC末端部位のSer2のリン酸化レベルが低下することが明らかとなっていた。本年度は、この原因を探索するために研究を行った。クロマチン免疫沈降実験によりRNAポリメラーゼIIの挙動を確認したところ、SSA処理細胞中では転写が早期に終結してしまい、DNAから離れたRNAポリメラーゼIIが多く観察された。さらに、そのようなRNAポリメラーゼIIは、次の転写サイクルのために核質で脱リン酸化されており、転写の早期終結がRNAポリメラーゼIIの脱リン酸化に関与していることが明らかとなった。さらに、転写を行っているRNAポリメラーゼIIのリン酸化レベルも低下しており、これらの2つの機構によりRNAポリメラーゼIIのリン酸化レベルが低下していると考えられる。このようなRNAポリメラーゼIIの脱リン酸化は、転写阻害剤や翻訳阻害剤の処理では観察されなかったため、遺伝子発現機構全体の阻害ではなく、スプライシング異常に特有の現象であると考えられる。一方、アンチセンスオリゴを用いたスプライシングの阻害や、他のスプライシング阻害剤によるスプライシングの阻害によってもRNAポリメラーゼIIの脱リン酸化が観察されたことも、スプライシング異常がRNAポリメラーゼIIの脱リン酸化を引き起こすことを支持するものである。次年度は、スプライシング阻害が早期転写終結を引き起こす詳細な分子メカニズムの解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スプライシング阻害時のRNAポリメラーゼIIの脱リン酸化レベルの低下メカニズムを明らかにすることができ、論文として発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
転写伸長抑制のメカニズムと、転写中のRNAポリメラーゼIIの脱リン酸化メカニズムを明らかにするために、スプライシング阻害時のリン酸化酵素のタンパク量やその挙動を観察する。
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Causes of Carryover |
実験消耗品にかかる金額が予想を下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費として使用する予定。
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Research Products
(4 results)