2013 Fiscal Year Annual Research Report
選択的オートファジーにおける分解標的認識制御機構の解明
Project/Area Number |
25711005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中戸川 仁 東京工業大学, フロンティア研究機構, 特任准教授 (90414010)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 選択的オートファジーの制御機構 |
Research Abstract |
オートファジーは、分解標的を脂質膜胞オートファゴソームで包み込み、リソソームあるいは液胞へ輸送する、細胞内の大規模な分解システムである。標的は、異常タンパク質の凝集体や損傷したミトコンドリア、細胞内侵入性細菌等、多岐にわたり、オートファジーのマシーナリーはこれらを正確に識別し、選択的に分解することができる。本研究では、多機能タンパク質リン酸化酵素 Hrr25に着目し、様々な選択的オートファジーに共通する分解標的の認識制御機構を明らかにすることを目的としている。平成25年度に得られた成果を以下に纏める。 (1) 酵母におけるHrr25によるマイトファジーおよびペキソファジーの制御機構の解明:まず、厳密な解析を進めた結果、Hrr25はペキソファジーには必要であるが、マイトファジーには必要ないという結論を得た。一方、Hrr25は、Atg34をレセプターとするα-マンノシダーゼAms1の液胞への輸送にも重要であることを発見した。これら選択的オートファジー関連経路において、Hrr25をノックダウンすると、共通のアダプター分子Atg11とレセプター分子Atg36(ペキソファジー)および Atg34(Ams1の液胞輸送)との相互作用が損なわれることを突き止めた。さらに、Hrr25はこれらレセプターを直接リン酸化し、これがレセプターとAtg11との結合に重要であることを示した。これら成果を二つの論文にまとめ、投稿した(両論文とも現在改訂中である)。 (2) Hrr25の酵素活性および局在変化の解析:Hrr25による選択的オートファジーの制御に関する時空間的情報を得るため、Hrr25にGFPを融合し、その細胞内局在を調べた。通常培養条件では、その多機能性を反映して、核やゴルジ体など、Hrr25が様々な場所に局在することが観察された。各選択的オートファジー経路の誘導条件での局在の変化の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記、「研究実績の概要」で記載した2つの項目のうち、まず、(1)については、成果を論文として纏めるに至り、想定以上に順調に研究が推進したと考えている。また、(2)については、局在変化についての結論を得るには至っておらず、また、Hrr25の酵素活性変化もまだ調べることができていないが、研究は特に問題なく進展している。総じて、研究はおおむね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、Hrr25の酵素活性および局在変化の解析を進め、選択的オートファジー誘導条件でどのようにしてHrr25によるレセプターのリン酸化がトリガーされるのか、そのメカニズムを聡買いにしていく。また、26年度は、Hrr25による選択的オートファジーの制御機構の生理的重要性に関する解析にも着手する。Hrr25によるCvt経路、ペキソファジー、Ams1の液胞輸送の制御機構を破綻させ、細胞に起こる異常を解析し、その生理的意義を明らかにする。Hrr25によりリン酸化を受けるレセプタータンパク質に擬似リン酸化変異を導入したり、Hrr25の活性や局在を人為的に変化させる等し、各選択的オートファジーを構成的に活性化させた変異株の作製を試みる。変異株の様々な条件での増殖や生存率、ペルオキシソームの機能や形態の変化等を調べる。
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Research Products
(3 results)