2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞世代時間の平均-分散関係と環境に依存しない固有成長性質の抽出
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25711008
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
若本 祐一 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30517884)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 1細胞計測 / 細胞情報・動態 / 成長・分裂 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
（大腸菌以外の生物種の長期1細胞計測を実現するマイクロ流体デバイスの開発）これまで大腸菌の長期1細胞計測に利用してきたダイナミクス・サイトメーターに加え、大腸菌以外の生物種でも長期1細胞計測を実現するマイクロ流体デバイスの開発に前年度から引き続き取り組んだ。分裂酵母の計測を目指したデバイスとして、ガラス基板上に置かれたアガロースゲルフィルムを集束光により加熱して微細な流路を構成したものを作製した。このデバイスにより、30世代程度の長期計測は実現したものの、デバイス作製の歩留まりが悪いこと、マイクロ流路への細胞導入効率が低いことなどの問題が明らかになった。この結果を受け、マザーマシン（Wang, P., et al., Curr Biol, 2010）を参考にした分裂酵母用デバイスの作製に取り組み、これを成功させた。このデバイスを用いることで、100世代以上の分裂酵母の観察が可能であることを示すとともに、効率の良い自動画像解析技術の開発にも成功し、細胞の成長動態の大規模データを速やかに実現する系を確立した。
（分裂酵母のAgingの解析）完成した1細胞計測技術を利用し、分裂酵母を複数の環境条件で培養し、母細胞系列において成長率の低下や死亡率の上昇といった「加齢（Aging）」が起きるか検証した。その結果、全ての環境で成長率や死亡率は時間的に一定であり、少なくとも100世代程度の時間スケールでは、加齢は生じないことを明らかにした。
（世代時間平均-分散線型関係の検証）完成した1細胞計測技術を利用し、定常環境下における分裂酵母の世代時間の平均と分散の高精度データを複数環境で取得した。その結果、大腸菌W3110株で観察されている線型関係が酵母でも成立していることを示すデータが得られ、分散がゼロになる極限での世代時間の下限値は約75分程度であることが示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
長期1細胞計測を実現するマイクロ流体デバイスの開発に関しては、特に分裂酵母において非常に優れたデバイスが完成し、当初の予想よりもはるかに効率的なデータ取得ができるようになった。さらにそれを用いたにより、線型関係を支持する結果も得られつつあり、現段階では予想よりも早く研究が進んでいる。また大腸菌の計測において、これまですでに結果を得ているW3110株に加えて、B/r株のデータ取得も進み、その結果、世代時間の平均-分散関係の傾きとして定量的に評価できる、各細胞株の内因的な揺らぎやすさが大きいほど、異なる定常環境間での平均成長率の変化幅が大きい可能性が示唆されるなど、当初全く想定していなかった結果も得られつつある。これらの成果から、本研究は当初の計画以上に進展していると評価できる。
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| Strategy for Future Research Activity |
大腸菌B/r株、分裂酵母については、これまで計測が行われていない環境条件で計測を進め、線型関係の再現性、信頼性を検証する。また、白血球細胞用のマイクロ流体デバイスも完成しつつあり、これを用いた1細胞計測も進め、線型関係の一般性を検証する。
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| Causes of Carryover |
研究が順調に進み、当初予定していた試薬や消耗品の使用量が少なくすんだため。また、今年度予定していた海外出張等による出費を抑え、次年度以降の成果報告に利用するよう計画を変更したため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、現在開発を進めている白血球用のマイクロ流体デバイス作製にかかる消耗品等の費用にあてるとともに、今年度までに得られた成果を学会、論文等で発表する際の旅費、投稿料等に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)
