2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25711012
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池ノ内 順一 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10500051)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 微絨毛 / スフィンゴミエリン / コレステロール / 上皮細胞 / アピカル膜 |
Research Abstract |
微絨毛は上皮細胞のアピカル膜に存在する細胞膜構造である。その機能は細胞と外界との物質の交換の場である以外にも、多くの受容体やトランスポーターなどの膜タンパク質が局在することから、シグナル情報の場としても近年、着目がされている。 研究代表者は、微絨毛にスフィンゴミエリンが多く含まれることを見出し、2013年に論文報告を行った(Ikenouchi et al. JCS 2013)。今年度は微絨毛形成において、スフィンゴミエリンと共に細胞膜上でドメインを形成することが知られているコレステロールに着目して解析を行った。まず微絨毛におけるコレステロールの分布を可視化するためにコレステロールに結合するタンパク質(PFO毒素のD4領域)に蛍光タンパク質を融合したものを大腸菌を用いて精製した。このコレステロール可視化プローブを用いた結果、微絨毛の限局された領域のみにコレステロールが豊富に存在することを見出した。また、MβCD添加によるコレステロールの除去と細菌由来のスフィンゴミエリン分解酵素の添加によるスフィンゴミエリンの除去によって生じる微絨毛の形態の変化についても比較を行った。その結果、スフィンゴミエリンの消失は速やかに微絨毛を壊すのに対して、コレステロール除去による微絨毛の形態変化には数時間の時間を要することを見出した。更にコレステロールの除去によって微絨毛が消失するメカニズムとして、微絨毛を構成する骨格タンパク質の分解がコレステロール除去により誘導されることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スフィンゴミエリンとコレステロールはともに微絨毛に豊富に存在するが、その分布は微絨毛の中で一致せず、分布様式に違いがあることを明らかにすることができた。また、どちらの脂質の除去も微絨毛の形成を障害するが、その作用様式は異なることが示唆された。コレステロールの除去によって、微絨毛に局在する特定のタンパク質の分解が誘導されているという知見も得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
様々な細胞はアピカル膜に微絨毛を有するが、その本数や長さなど微絨毛の形態は一様ではない。微絨毛を構成するタンパク質は既にいくつかが同定されているが、研究代表者は、細胞膜脂質の一つスフィンゴミエリンが微絨毛の構成要素であることを見出した。更に今年度はコレステロールも微絨毛形成に寄与することを明らかにした。今後は、微絨毛に局在する膜タンパク質の局在や活性の制御に細胞膜脂質がどのように関わっているかについて着目し、微絨毛の形成メカニズムの解明を進めていく。
|
Research Products
(6 results)