2014 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経系の成立機構と交感神経-血管とのインターフェース
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25711015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 大介 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (90403360)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 副腎 / ニワトリ胚 / 生殖腺 / 恒常性 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者は副腎の発生学的な成り立ちを理解するためにこの内分泌器官の形成機構を研究してきた。これまでに、副腎髄質については神経堤細胞に由来することが知られていたものの、副腎皮質の由来については諸説あるが結論には至っていなかった。当該年度、代表者はトリ胚を用いた細胞ラベル実験から、副腎皮質が体腔上皮に由来することを見出した。また、生殖腺も副腎皮質同様にステロイド合成系の内分泌器官であり、副腎皮質と共通の由来をもつことが過去の先行研究から示唆されていたが、代表者の今回の解析により、生殖腺も体腔上皮から由来するものの、副腎皮質は異なる区画から由来することがわかった。本研究から、これまで謎であった皮質の由来を突き止めることができたが、それに伴って今後皮質への遺伝子操作実験が可能となった。副腎形成機構の更なる発展に寄与する知見となった。 一方で、生殖腺の解析も合わせて進めていた。結果として、内胚葉から分泌されるソニックヘッジホッグタンパク質が体腔上皮に作用することがトリガーとなり、生殖腺の分化が始まることを見出した。 前半の副腎皮質の由来については、Development, Growth, and Differentiation誌に筆頭著者として投稿済み、後半の生殖腺の形成機構についてはNature Communications誌に最終責任著者として投稿済みであり、それぞれリバイス作業中である。どちらも繰越期間中の掲載を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度中に遺伝子導入条件の再検討が必要となり、H28年度に繰越ししての研究計画となってはいるが、副腎皮質の由来も決定したこともあり、その後は順調に研究が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
ソニックヘッジホッグによって生殖腺の分化トリガーが引かれることがわかってきたが、副腎皮質の分化の初期機構は現在も全くの謎のままである。むしろ、副腎皮質の方がソニックヘッジホッグの影響を受けやすい領域に存在しているにもかかわらず、このシグナル系は皮質には作用しないようである。代表者は、副腎の分化には、ソニックヘッジホッグシグナルの抑制機構が関与するのではないかと予想し、組織・細胞・分しのレベルでこの検証を計画している。皮質の(予定)細胞においてソニックヘッジホッグシグナルが入っているかについて、in situハイブリダイゼーション法により検証する。次に、皮質特異的にshhシグナルの強制的な活性化を施し、皮質分化への影響を解析する。なお、皮質予定細胞に付随して存在する毛細血管がソニックヘッジホッグシグナルの制御に関わるのかについても解析していく。
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Causes of Carryover |
副腎皮質への遺伝子導入条件の再検討が必要となり、その後に計画して実験を次年度に移すことになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として、抗体作成(250千円x3セット)、遺伝子機能解析試薬(100千円x3セット)、遺伝子発現解析試薬(50千円x7セット)を購入する。旅費として、京都大学理学部出張(100千円x2回)、名古屋大学医学部出張(100千円x2回)行う。謝金をアルバイト2名を雇用する(2名x15千円/月x10ヶ月)。その他として、論文投稿料(200千円x2本)使用する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] AP-2β is a transcriptional regulator for determination of digit length in tetrapods.2015
Author(s)
Seki, R., Kitajima, K., Matsubara, H., Suzuki, T., Saito, D., Yokoyama, H. and Tamura, K.
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Journal Title
Dev. Biol.
Volume: 407
Pages: 75-89
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Angiogenesis in the developing spinal cord: Blood vessel exclusion from neural progenitor region is mediated by VEGF and its Antagonists.2015
Author(s)
2.Takahashi, T., Takase, Y., Yoshino, T., Saito, D., Tadokoro, R. and Takahashi, Y.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 10
Pages: e0116119
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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