2013 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素を蓄積する新規土壌細菌の分子メカニズムの解析とケイ素循環における役割の解明
Project/Area Number |
25712009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
池田 丈 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (10505754)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細菌 / 胞子 / ケイ素 |
Research Abstract |
我々はこれまでに土壌細菌Bacillus cereusとその近縁種が胞子形成時にケイ酸を取り込み、生体内で重合反応を起こしてシリカを形成・蓄積する事を発見した。シリカが蓄積される胞子膜は多数のタンパク質で構成される膜であることから、シリカの蓄積(ケイ酸の重合によるシリカ形成)にはタンパク質が関与していると考えられた。これまでの研究において、胞子コートタンパク質であるCotB1B2をコードする遺伝子を破壊するとシリカの重合が起こらなくなることが分かっていた(cotB1B2遺伝子はゲノム上に並んで存在していたため同時に破壊した)。 本年度は、CotB1B2によるシリカ蓄積メカニズムの解析を行った。遺伝子相補実験を行い、cotB1またはcotB2を単独でcotB1B2破壊株に相補したところ、cotB1を相補した場合はシリカ蓄積能が回復したのに対し、cotB2を相補してもシリカ蓄積能は回復しなかった。CotB1とCotB2のアミノ酸配列は互いに相同性が高いが、CotB1のみC末端領域が長くなっていることから、この領域がシリカ蓄積に関与していると予想された。この領域を削除したC末端欠損CotB1遺伝子を相補した場合にはシリカ蓄積能は回復しなかったことから、この領域がシリカ蓄積に関与していることが支持された。また、この領域に相当する合成ペプチドをケイ酸溶液に添加したところ、ケイ酸が重合してシリカを形成する様子が観察されたことから、本C末端領域が生体内でもシリカ形成に直接関与していることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
B. cereusの胞子タンパク質のひとつであるCotB1のC末端領域がシリカ蓄積に関与していることを明らかにしたが、本タンパク質のホモログは非シリカ蓄積細菌を含む多くのBacillus属細菌に共通して存在しているため、シリカ蓄積細菌特異的なプローブとして利用できないことが分かった。CotB1以外のシリカ蓄積細菌特異的タンパク質の同定を進める必要があるため、当初の計画よりも若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
シリカ蓄積細菌に特異的なタンパク質の候補であるケイ酸トランスポーターの同定を行い、得られたケイ酸トランスポーター遺伝子をプローブとして、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を行い、土壌サンプル中におけるシリカ蓄積細菌の存在量および群衆構造を解析する。
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