2014 Fiscal Year Annual Research Report
広帯域超音波受信テレメトリーによる沿岸魚類の固執・回帰行動研究―個体から個体群へ
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25712022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三田村 啓理 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (20534423)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオロギング / バイオテレメトリー / 高精度測位 / 個体群 / 群れ |
Outline of Annual Research Achievements |
水圏生物を取り巻く様々な問題の中でも、生息域や産卵場等への回帰および固執に関する問題は、幅広い分野から注目を集めるテーマである。本研究は、多くの水圏生物が有する回帰・固執行動のメカニズムを個体レベルや個体群レベルで解明することを目指す。まず多個体、群れならびに個体群の行動を同時にモニタリング可能なバイオテレメトリー技術の開発・確立を目指した。具体的には、これまで開発してきた個体の位置を高精度に把握できる超音波バイオテレメトリーシステム(AUSOMS Ver. 3、アクアサウンド社)を応用して、多くの個体を同時かつ高精度に位置を把握できる広帯域超音波受信バイオテレメトリーシステムを開発した。この新しいバイオテレメトリー技術は、一度に様々な周波数の超音波信号を受信でき、それらを識別できる。この技術を評価するために、複数の水域で実証実験をおこなった。その結果、同時に多くの個体の位置を高精度(数十センチメートル)に把握できることがわかった。つまり、目に観えない水中の小さな空間に集まる複数個体の位置でさえ、個別に把握できる技術を開発・確立した。 平成26年度は、この広帯域超音波受信バイオテレメトリーシステムをクロマグロ、キハダの群れ行動に適用して、群れ行動のパラメータ取得に成功した。また、ナマコ、メバル、キジハタなどの沿岸水産資源生物の固執行動のモニタリングに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、確立した広帯域超音波受信バイオテレメトリーシステムでクロマグロ、キハダ、ナマコ、メバルなどの沿岸魚類の群れ行動や固執行動をモニタリングした。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、複数の水域において、開発・確立した技術を用いて、メバル、キジハタ、ナマコ、マグロ類などの沿岸魚類を主に対象として固執・回帰行動のメカニズムの解明を個体や個体群レベルで目指す。
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Causes of Carryover |
超音波信号用ハイドロフォン、超音波発信機、実験資材など設備備品、消耗品として計上していたが、現有備品を有効に活用できたことから当該助成金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も引き続き開発・確立した技術の改善ならびに維持・管理をおこなうとともに、沿岸魚類の固執・回帰行動のメカニズム解明を達成するために当該助成金を使用する。
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