2014 Fiscal Year Research-status Report
福島原子力発電所事故以降の放射能による食品汚染に対する消費者の意識調査研究
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25712025
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
有賀 健高 石川県立大学, 生物資源環境学部, 講師 (90589780)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 消費者意識調査 / 環境意識 / 風評被害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず平成25年度の研究実績で得られたアンケートデータの概要をつかむために、アンケートによって収集された項目の平均、分散といった基本統計を測定した。次に、この測定結果を踏まえて、福島原子力発電所近辺の農産物の購入意欲に影響を及ぼす要因について分析する上で有用だと思われる変数を特定し、分析に使いやすい形に変数を加工した。そして、本年度は、主に消費者の環境意識が、発電所近辺を産地とする食品購入に与える影響を検証した。 アンケート調査によって得られたデータの分析から、環境意識の高い消費者ほど原発近辺を産地とする食品に対する購入意欲があることが示された。また環境意識以外の分析から、食品中の放射性物質の規格基準への信頼、高年齢、男性といった要素は購入意欲に正の影響があることがわかった。一方、高所得、高学歴、子供が多い、居住地が原発から離れているといった要素は購入意欲に負の影響を与えることが明らかとなった。この研究結果は、概ねアンケートを作成する際に予想していた結果とほぼ一致していた。 この研究成果について、環境経済・政策学会2014年大会や第28回環境情報科学学術研究論文発表会などといった学会で発表した。また発表内容は、査読審査を経た後、国内の学会誌に論文として掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り福島原子力発電所近辺で生産された農産物に対する購買意欲に影響を及ぼす要因について対数ロジットモデルを用いて分析した。そして、その結果を学会やワークショップで発表し、フィードバックを得ることができた。また分析結果の一部を論文として出版した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度までの研究では、農水産物10品目を対象に行った風評被害に関するアンケート調査を品目毎にわけず、全品目データを包括して分析する研究に焦点を絞っていた。そこで今後は、お米、ミネラルウォーター、肉用牛、豚、きゅうり、りんご、まぐろ、わかめ、鶏卵、生椎茸の10品目それぞれについて個別に行ったアンケート調査のデータを用いて、品目毎の消費者意識の違いに着目した研究を進めていく予定である。また、本年度は日本の学会だけでなく、国際学会でも研究成果を発表し、世界的な学会誌に研究成果を投稿していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果を本として出版するための費用が次年度に発生する可能性が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究成果を本として出版するための費用として使用する予定である。既に某出版社と交渉し、出版社の企画会議で出版することが認められており、出版社側から執筆依頼書を得ているため、予定通り執筆が本年度中に終了すれば出版費用が発生することが予想されている。
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Research Products
(4 results)