2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞から個体までの全階層を繋ぐ包括的代謝制御体系「体内時計制御工学」の基盤研究
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25712029
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
福田 弘和 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90405358)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 農業工学 / 植物工場 / 体内時計 / 網羅的発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞から個体レベルに渡って植物の生理代謝を包括的に制御することを目指し、新規の学術体系である「体内時計制御工学」を創生することを試みた。 2年目となる平成26年度での成果は以下の通りである。 研究項目1「ダイナミック多元環境条件におけるオミクス診断システム」の開発:1)前年度と同様に、最新の低コスト型・超多検体RNA-seq解析の手法を用いた、栽培・サンプリングを行い、最終的に「超多検体RNA-seqのデータベース」を作成した。2)膨大な遺伝子発現データを処理する「ODMEモデル」、体内時計の活動を記述する「分子ネットワークモデル」に1)の超多検体RNA-seqのデータベースを利用した。供試植物として、大葉、レタス、イチゴ、トマト、シロイヌナズナ、イネを対象に、時系列的に多検体のRNA-seq解析を行った。統計解析ならびにモデル構築を試みた。 研究項目2「走査型レーザー照明を用いた体内時計制御システム」の開発:1)成長点などの特定の部位の選択的な体内時計制御による成長制御の実証実験を行った。2)得られた実験結果を利用して、「細胞ネットワークモデル」の改良を行った。これらの成果を論文として取りまとめ、投稿準備を行った。 これらの研究成果を踏まえて、最終年度となる平成27年度においては、「3つのモデル(分子ネットワークモデル、細胞ネットワークモデル、ODMEモデル)の統合による体内時計制御工学の構築」を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、最新鋭の研究システムを開発し、「数万の遺伝子や数千の代謝情報を包括的に扱うための理論基盤・技術の創出」と「細胞から個体レベルまでの全階層を繋ぎ、全体として制御するための理論基盤・技術の創出」を目的に行っている。最終的には、膨大な分子診断データから細胞間・器官間の相互作用までを記述できる複合的な数理モデルを開発し、植物生産を最適化する代謝制御のための全階層型で包括的な理論体系を構築することを目指している。 2年目において、大葉、レタス、トマトを主としたRNA-seq解析の実験・解析環境ならびにデータベースも十分に構築できた。細胞間ネットワークモデルについても、新たな展開を得た。3年目においては分子ネットワークモデルの構築も十分に達成でき、3つのモデルの統合が十分に期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目において、大葉、レタス、トマトを主としたRNA-seq解析の実験・解析環境ならびにデータベースも十分に構築できた(ODMEモデル構築)。細胞間ネットワークモデルについても、新たな展開を得たが、3年目においては分子ネットワークモデルの構築に注力する必要がある。また、当初計画に従い、3つのモデルの統合について注力する必要がある。
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Causes of Carryover |
試薬等の次年度購入に利用するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬等の次年度購入に利用する。
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Research Products
(10 results)