2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25713009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
櫛引 俊宏 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (30403158)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / 光 / 機能制御 |
Research Abstract |
細胞自身が有する生理機能や分化能を非侵襲的に制御することは、疾病の治療・予防にとどまらず、基礎生物医学実験などにも有用な制御ツールとなる。そこで、細胞機能や分化誘導を制御する方法として光技術を応用することが本研究の目的である。 骨芽細胞前駆細胞に光技術を適用後、次世代シーケンサーによりmRNAの発現を網羅的に解析し、細胞増殖や低酸素応答に関するシグナルカスケードが活性化していることを明らかにした。さらに、骨髄間葉系幹細胞や骨芽細胞前駆細胞の骨芽細胞分化に焦点を絞り、細胞死に至らない低レベルレーザーを用いたPDT(low dose PDT)が細胞の分化促進におよぼす影響を調べた。その結果、low dose PDTを施した骨髄間葉系幹細胞および骨芽細胞前駆細胞は、骨芽細胞に分化促進することが明らかとなった。そのメカニズム解明のため、PDTによる細胞内の炎症性転写因子の発現を現在調べている。具体的には、Nuclear Factor kappaB(NF-kappaB)、Hypoxia Inducible Factor-1(HIF-1)やSignal Transducer and Activator of Transcription 3(STAT 3)といったPDTによって誘発される代表的な炎症性転写因子の発現を計測している。さらに今年度は、同じく炎症性転写因子であるActivator Protein-1(AP-1)の発現が亢進していることを明らかにした。AP-1は骨芽細胞と破骨細胞の両方の分化制御に中枢的な役割を果たしていることが知られている。これらのことから、AP-1発現亢進を誘導するlow dose PDTは骨髄間葉系幹細胞および骨芽細胞前駆細胞の骨芽細胞分化を促進することができ、再生医療や創薬における幹細胞の利用に有用なツールとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新規ハイスループット光照射システムにより、レーザー光源を用いた細胞への光照射を効率よく、かつ、光照射以外のストレス(液体培地温度の上昇など)が細胞へ負荷しないシステムを活用できた。細胞へ光照射後に発現タンパク質の網羅的解析を行うことができ、種々のmRNA発現量の増減を確認できた。技術職員を雇用し、幅広い条件で網羅的解析を行い、研究進捗を図ることができた。これらの結果は、当初の予想以上の成果を生み出し、また新たな事象の発見につながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在行っているNuclear Factor kappaB(NF-kappaB)、Hypoxia Inducible Factor-1(HIF-1)やSignal Transducer and Activator of Transcription 3(STAT 3)の発現定量を行い、どの因子がレーザー光照射後の骨芽細胞分化促進のキーファクターとなっているのか明らかにする。さらに、今年度の網羅的解析より明らかとなったActivator Protein-1(AP-1)の発現について詳細な解析を行う。すなわち、AP-1の構成因子であるFosファミリー(Fra、c-Fos、FosB)およびJunファミリー(c-JunやJunD)の発現量の定量を行い、さらにAP-1阻害剤を添加して同様の実験を行う。AP-1はストレス応答性転写因子として知られており、UV照射、活性酸素種や低酸素状態など広範な刺激がAP-1を活性化し、炎症性サイトカインの産生をはじめとするストレス応答性の遺伝子発現制御を担っていることから、種々のタンパク質発現との相互作用やクロストークを常に考察しつつ、研究を進める。引き続き、技術補佐員を雇用し、期間全体の研究進捗を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度分の物品費、人件費及び役務費の支払予定額が85万円あるため、次年度使用額は15万円である。 次年度開始すぐに購入したい消耗品を計画しているため、15万円を次年度使用分とした。 次年度助成金請求額(30万円)とあわせて、年度開始当初に消耗品費として25万円、役務費用として20万円を使用する計画である。
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Research Products
(3 results)