2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25713020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
華山 力成 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授 (40403191)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エクソソーム / マクロファージ / ケモカイン / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソームは様々な細胞が放出する小型の膜小胞で、細胞間の情報伝達を制御すると考えられている。私達はこのエクソソームが特に炎症性マクロファージによって強く放出されることを明らかにした。また、エクソソームの放出を促進する分子を同定し、そのノックアウトマウスにおいてエクソソームの放出が阻害されていることを確認した。本年は、まず腹腔内の炎症で炎症性マクロファージが誘導されエクソソームが放出されると、常在性マクロファージに選択的にとりこまれることを明らかにした。更にこのエクソソームの取り込みによって、常在性マクロファージから数種類のケモカインの放出が促進され、その結果、抑制性の免疫細胞が炎症部位に誘発されることが明らかになった。この過程は炎症の収束反応に重要であると考えられる。実際、マウスの腹腔に不活化した大腸菌を投与すると、強い炎症が引き起こされるが、炎症性マクロファージ由来のエクソソームを予め投与すると、炎症反応が劇的に低下することが判明した。一方、我々の樹立したノックアウトマウスに同様の刺激を与えると、野生型マウスに比べ、炎症が増悪することが明らかとなった。このノックアウトマウスに外からエクソソームを投与してやると、炎症反応が劇的に低下することが判明した。このことから本年は、エクソソームがもつ抗炎症作用が、常在性マクロファージを介した抑制性の免疫細胞の誘導によって引き起こされることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、エクソソームの放出機構、標的細胞、生理作用を明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、免疫系のみならず、他の臓器とのコミュニケーションにエクソソームが関与していることを明らかにする。特に脂肪細胞はエクソソームを多量に放出することが知られている為、そのエクソソームが免疫細胞の脂肪組織浸潤に影響するのか、免疫細胞の活性化や分化に影響するのか、更に肥満・耐糖能異常の原因となりうるのかを検討する。
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