2014 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアDNA蓄積と炎症の観点からの心不全治療開発
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25713031
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡 崇史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (30647285)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心不全 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全の発症進展機構において炎症機転が影響を及ぼしていると考えられているが、その多くが非感染性炎症であり未解明の部分が多い。本研究では、微生物DNA同様な非メチル化CpGモチーフを有するミトコンドリアDNAがストレスを受けた心筋細胞に蓄積され、自然免疫関連分子であるToll様受容体TLR9を介してサイトカイン産生や炎症細胞浸潤に寄与している点に着目し、TLR9およびDNaseIIの心不全治療新規創薬分子標的としての可能性についての検討を行うものである。 ヒト不全心筋においてリソソーム内のDNA蓄積が認められる症例が半数程度に認められたが、対照群においてはリソソーム内のDNA蓄積は認められなかった。 DNase IIを分子標的とした心不全に対する治療効果の基礎的検討を行うため、心筋特異的DNase II過剰発現マウスのコンストラクトを作製し、トランスジェニックマウス作出に成功した。トランスジェニックマウス心においてDNase II-HAの発現上昇、およびSREDアッセイにおけるDNase II活性の上昇が確認された。本マウスの定常状態における生理学的表現型を確認し、圧負荷心不全病態モデルの慢性期表現型を評価した。さらに、本遺伝子改変マウスに加えて、薬剤誘導性かつ心筋特異的DNase II過剰発現マウスの系を新たに作出した。心筋細胞特異的MER(mutant estrogen receptor)-Cre-MER発現トランスジェニックマウスと交配を行い、double transgenicマウスを樹立完了した。本マウスにおいて、心負荷代償期にDnase II発現を誘導する事で心不全発現を救済しうるか否かについての評価を継続する。 TLR9阻害の影治療効果について、in vivoにおける炎症反応抑制が圧負荷後心不全病態モデルマウスに及ぼす影響についての検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2系統の心筋特異的DNaseII発現遺伝子改変マウスの樹立に成功しており、表現型の確認が進んでいる。TLR9経路への介入についてもin vivoの表現型解析が順調である。またヒト心不全症例における検討も症例数を増やしながら解析が進行しており、全体としておおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの解析結果を受けて、TLR9およびDNaseIIそれぞれの創薬分子標的に関する解析をさらに進める。またヒト心不全病態における本経路の関与が間接的に示されつつあり、今後のさらなる検討を推進する。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費執行を行っており、当初見込み額と執行額は異なったが、研究はおおむね順調に進展しており、研究計画に大きな変更はない。前年度の研究費も含め、当初の予定通り計画を進めていく。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に行った遺伝子改変動物の評価を継続して行うために用いる。
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