2014 Fiscal Year Annual Research Report
髄鞘を標的とした神経変性疾患・脊髄損傷に対する新規治療戦略に関する研究
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25713035
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中原 仁 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60537950)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 髄鞘 / オリゴデンドロサイト / 神経変性疾患 / 再生医療 / 新規治療戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
髄鞘は跳躍伝導と神経保護の二つの観点から中枢神経系において必要不可欠の構造物である。その重要性は多発性硬化症に代表される脱髄疾患の病状からも明らかであるが、昨今はアルツハイマー病やパーキンソン病、ALSなどの神経変性疾患、統合失調症や鬱病などの精神神経疾患、或いは脊髄損傷などの外傷においても、神経細胞のみならず髄鞘の障害がその病態に深く関与していることが解明されつつある。再生能の乏しい神経細胞に比して高いリダンダンシーを有する髄鞘の関与は髄鞘再生療法が新たな治療の光となる可能性を示唆している。本研究は神経変性疾患や脊髄損傷の新たな治療標的として髄鞘が有する可能性を追究することを目的としている。 昨年度報告の通り、昨今得られている幾つかの知見により、当初想定していた髄鞘化誘導医薬品候補化合物の単純投与では髄鞘再生は誘導されない可能性が示唆され、むしろ、髄鞘の乾燥重量の大半を占める脂質の供給系を担保することが重要であるとの認識に至った。 上記認識に立脚し、特に神経変性などが生じやすくなる加齢マウスにおいて、髄鞘の恒常性維持には髄鞘脂質供給系の健全性が必要であるとの作業仮説を立て、これを検証するべく、申請者が既に作成していた髄鞘脂質供給系を止めた動物モデル(アストロサイトのケトン体合成能を障害させた遺伝子改変マウス)を加齢化させ、神経変性などの事象が生じ得るかを解析することとした。平成26年度においては上記作業仮説に基づき生後2年程度を経た加齢マウスを用いた、神経・アストロサイト・髄鞘などの組織学的解析及びY-mazeなどを利用した行動解析を実施しており、本書作成時点で解析は継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度に研究計画を修正したため、研究全体の進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度報告の通り、脊髄損傷の評価を断念し、神経変性疾患などの脳疾患に対象を絞りエフォートを集中することで研究を引き続き進捗させる。
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Causes of Carryover |
研究計画修正に伴う進捗遅延により当該年度の消耗品の購入が減少したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度研究計画に添って物品費として使用する。
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Research Products
(8 results)