2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25713038
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
金城 雄樹 国立感染症研究所, その他部局等, その他 (20570831)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 肺炎球菌 / NKT細胞 / 感染症 / 免疫学 / 内科 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人の死因の第三位は肺炎である.そのため,肺炎をおこす頻度の最も高い細菌の一つである肺炎球菌に対する感染防御機構の解明は重要である.申請者は最近,Natural killer T(NKT細胞)とよばれる自然免疫応答に関与するリンパ球を介した新しい肺炎球菌感染防御機構を見出した(Nature Immunology 2011). 本研究では申請者らのこれまでの研究を基に,肺炎球菌性肺炎におけるNKT細胞による炎症細胞の集積促進や菌体排除促進機序の解明を目指して,NKT細胞が肺炎球菌感染早期に産生するinterleukin-17(IL-17)の役割について解析を行った.これまでに,IL-17を産生するNKT細胞を欠損したマウスとコントロールマウスを用いて,肺炎球菌感染後の菌体排除においてIL-17の関与を示唆する結果を得た.さらに,そのIL-17が肺炎球菌感染後の炎症細胞の肺への集積に影響を及ぼす可能性が示唆された. また,侵襲性肺炎球菌感染症発症機序の一端の解明を目的とし,侵襲性肺炎球菌感染症症例由来の菌株より精製した糖脂質を用いて解析を行った.これまでに,肺炎球菌から糖脂質を精製する方法および二種類の糖脂質を分離する方法を確立した.数種類の肺炎球菌株から精製した単糖型および二糖型の糖脂質を比較したところ,どの菌株においても二種類の糖脂質を検出し,量に関して大きな違いを認めなかった.そのことから,肺炎球菌株間の糖脂質の違いの有無の解析には,糖鎖構造や脂肪酸の種類の解析を含めた詳細な解析が必要であることが示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺炎球菌感染後早期にNKT細胞が産生するIL-17の炎症細胞の集積における役割に関する解析にて興味深い結果を得ることができた. また,侵襲性肺炎球菌感染症症例由来の肺炎球菌株から精製した二種類の糖脂質の解析を行い,研究を進展させた.
|
Strategy for Future Research Activity |
肺炎球菌感染早期に,肺でNKT細胞が産生する二つのサイトカイン、IL-17およびinterferon γ(IFNγ)が肺炎球菌感染防御に及ぼす役割を明らかにすることを目的として,これまでに得られた成果をもとに,マウスモデルを用いた解析を推進する.IL-17の役割に関して,より詳細な解析を行うため,平成26年度に新たにIL-17欠損マウスを入手した.そのマウスを用いて,肺炎球菌に対する感染抵抗性や炎症細胞集積などの解析を行い,肺炎球菌感染早期の防御免疫応答におけるIL-17の役割を明らかにする.IFNγとIL-17が,それぞれ炎症細胞の集積や菌体排除にどのような影響を及ぼすのか明らかにすることにより,肺炎球菌感染防御機構の一端の解明に繋がると考えられる.
|
Causes of Carryover |
当初の計画より旅費およびその他の支出が少なかったため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進展に伴い、支出の増額が想定される物品費、旅費や謝金などに使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)