2013 Fiscal Year Annual Research Report
細菌感染および免疫システムオートファジーに関わる遺伝子発現ネットワークの解明
Project/Area Number |
25713060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
丸山 史人 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30423122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | A群レンサ球菌 |
Research Abstract |
本研究では、細胞内寄生性細菌であるA群レンサ球菌(GAS)の特にファージ由来因子に着目した細胞内での多様化・生存戦略の解明と上皮細胞内の免疫システムであるオートファジーの遺伝子発現制御ネットワークの解明を目指す。そのために、I) GASの大量ゲノム情報解析を用いて、多様化・進化モデルを提唱する。II) GAS感染後経時的なGASと宿主の同時トランスクリプトーム解析(RNA-seq, TSS-seq)による遺伝子発現ネットワークを解明する。III) モデル実験系でGASの細胞内生存戦略を発現レベルで確認するとともに、ゲノム多様化を再現する。可能であれば、その普遍性を他の細胞内寄生性細菌において確認する。まず、GenBankより、(ドラフト)ゲノム、およびShort Read Archiveから全てのGAS配列データと種々のメタデータ(生育条件、単離元、臨床データなど)を取得する (現在、200株分程度)。分類に利用される表面抗原のMタンパク質の型や、臨床情報、基質利用能などの生化学的なデータを収集した。種々(単離年代、臨床症状、地域)のGAS 53株について、既にイルミナGAIIxにて101bp paired-end、ゲノムの約50倍の配列を取得した。M型の異なる50株程度のGAS菌株(国立感染症研究所から近日到着予定)から同様にゲノム配列をGAIIxにて取得した。得られる配列をアセンブルしてから、遺伝子領域、tRNA、rRNAなどを予測し、遺伝子について機能予測をした。すべてのGASが共通して保有する遺伝子セット(core-genome)やGAS全体で一株でも保有する遺伝子セット(Pan-genome)を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書の通りであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のデータを利用して、GASゲノム内の遺伝子セット、ファージ、CRISPRの量や多様性、メタデータ (臨床症状など) を利用して重相関解析を行う (これらの変数を用いて多項式を作成し、各係数を算出する)。これにより、GASゲノムの多様化において影響を与える可能性のあるパラメータを選定する (CRISPRの量やファージの多様性に、大きく影響するメタデータを想定している)。 4つの異なる増殖時期のGASおよび本菌を感染させる予定の宿主細胞 (HeLa, マウス線維芽細胞MEF Atg5+/+およびオートファジー欠損細胞Atg5-/-) からRNAを抽出し、16S, 18S rRNAを除去し、鎖特異的なRNA-seqおよびTSS-seq (TSS: Transcription Start Site) をイルミナHiSeq2000(外部受託サービスを利用)により行う。合計14サンプルを1レーン2サンプルタグ配列をつけることで効率良くシーケンスする。菌株には、高頻度で上皮細胞に侵入するJRS4株を使用する。本株のゲノム情報は申請者らが既に決定済みである(未公開)。ヒトおよびマウスのゲノム配列はデータベースより取得する。これらの参照ゲノム配列へ取得配列のマッピング (bwaまたはblatを予定)による解析手法を確立し、オーバラップ遺伝子、antisense RNA、non-coding RNA、2重転写開始点、などを検出・定量する。
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