2014 Fiscal Year Research-status Report
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25730008
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
福永 拓郎 国立情報学研究所, ビックデータ数理国際研究センター, 特任准教授 (60452314)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ターミナルバックアップ / マルチフロー |
Outline of Annual Research Achievements |
反復丸め法を利用したアルゴリズムの設計について,様々な最適化問題の検討を行った.その結果として,一般化ターミナルバックアップ問題と呼ばれる問題について,新たなアルゴリズムを与えることに成功した.一般化ターミナルバックアップ問題とはネットワーク設計問題の一種である.辺に容量のない場合については多項式時間アルゴリズムの存在が従来より知られていたが,辺に容量がある場合については,反復丸め法に基づく2近似アルゴリズム,つまり最適解と比較したときにコストが2倍以内で収まるような解を必ず出力するアルゴリズムが知られているのみであった.本研究では新たに4/3近似アルゴリズムを与えた.この成果の重要な点は,線形計画緩和問題の端点解が,従来の反復丸め法に基づく解析から得られるよりもさらに強い性質を持つことを示した点である.これによって,従来よりも良い性能を持つアルゴリズムを得ることができた.また,関連する成果として,最小コストマルチフロー問題についても新たな知見が得られた.
以上に加えて,反復丸め法が良い性能を発揮しないような問題について,新たな手法の検討を行った.具体的な研究対象として,劣モジュラ罰則付きシュタイナー木問題を取り上げた.この問題は,反復丸め法がそれほど良い性能を発揮しないことが従来より知られており,良いアルゴリズムを得るためには手法自体の拡張を行う必要があると考えられる.この点について研究を行った結果,部分的な成果は得られたものの,さらなる発展の余地があると考えている.よって,平成27年度も引き続いて研究を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反復丸め法の手法を利用することで,いくつかの最適化問題に対して従来のアルゴリズムを性能の点で上回る新たなアルゴリズムを与えることに成功しており,おおむね計画通りに進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度より研究を続けている点重みネットワーク設計問題やネットワークアクティベーション問題に対して,さらに研究を続ける.また,平成26年度に成果が得られた一般化ターミナルバックアップ問題についても,多項式時間アルゴリズムが存在するかといった研究課題が残っているため,引き続いて研究を行う.加えて,劣モジュラ罰則付きシュタイナー木問題のように,従来の反復丸め法では良いアルゴリズムが得られなかったような問題についても,研究を行う予定である.
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Causes of Carryover |
航空運賃や物品の価格などの変動のために,旅費や物品の購入価格と計画との間に誤差が生じたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に本来購入予定であった計算機の周辺機器などの購入に充てる.
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