2013 Fiscal Year Research-status Report
動的システム解析における組合せ的な行列計算手法の研究
Project/Area Number |
25730009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
高松 瑞代 中央大学, 理工学部, 准教授 (70580059)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動的システム解析 / Kronecker標準形 / 電気回路 / 混合行列理論 / 微分代数方程式 |
Research Abstract |
線形時不変微分代数方程式をラプラス変換すると,得られる方程式系の係数行列は各成分の次数が高々1の多項式行列(行列束)となる.線形時不変微分代数方程式の指数は係数行列束のKronecker標準形により定義される.Kronecker標準形は,複数の正方・長方ブロックからなるブロック対角行列である.本研究の目的は,背景にある物理モデルの情報や行列束の零・非零構造を利用することで,Kronecker標準形を効率的に計算する手法を開発することである.本年度は,以下の二つのテーマについて研究を行った. 一つ目は,電気回路を記述する微分代数方程式に対するKronecker標準形に関する研究である.微分代数方程式の指数を決定するKronecker標準形のブロックを,回路の構造によって特徴づけた.この特徴づけを利用することで,数値計算を行うことなく,回路の構造をみるだけでKronecker標準形の正則なブロックに関する情報を得ることができる. 二つ目は,非正則な行列束に対する研究である.非正則な行列束のKronecker標準形の計算は,正則な場合よりも難しいことが知られている.岩田・清水(2007)の研究では,行列束の各係数が独立パラメータであるという仮定のもとで,長方ブロックのサイズの和に対する組合せ的特徴づけが与えられている.一方,現実に現れる行列束では,一部の係数が正確な数値であることが一般的である.このように正確な数値と独立パラメータを区別する行列束を混合行列束という.本研究ではあるクラスの混合行列束に対して岩田・清水(2007)の結果を拡張し,Kronecker標準形の長方ブロックのサイズの和に対する組合せ的特徴づけを与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非正則な行列束のKronekcer標準形について研究を行い,あるクラスの混合行列束に対して,Kronecker標準形の長方ブロックのサイズの和に対する組合せ的特徴づけを与えた.一年目に非正則な場合について新たな結果を得られたので,おおむね順調に進んでいるということができる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のテーマは,Kronecker標準形の計算法の開発,および,混合行列理論の拡張である.今後は前者だけでなく,後者の研究課題についても取り組んでいく.具体的には,これまで混合行列に対して研究されてきた階数の計算法や小行列式の最大次数の計算法を,同じ独立パラメータが複数回出現する行列に拡張することが挙げられる.また,非正則な行列束のKronecker標準形の計算法の開発についても研究を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
30万円のノートPCの購入を予定していたが,実際に購入したノートPCは約18万円だったため. 次年度に予定している高性能デスクトップPCや数値計算ソフトウェアの購入のために使用する.
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Research Products
(2 results)