2013 Fiscal Year Research-status Report
抗がん剤併用療法のための縮小回帰に基づく用量探索法の研究
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25730015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平川 晃弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90609330)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | がん臨床試験 / 第I相試験 / 併用療法 / 用量探索 / ベイズ統計 / 縮小推定 |
Research Abstract |
平成25年度は,抗がん剤第I相試験における2剤併用療法のための用量探索法として,縮小ロジスティックモデルを用いた方法を開発し,既存の用量探索法(Yin and Yuan, 2009, Journal of the Royal Statistical Society, Series C, 58:211-224; Wages et al., 2011, Clinical Trials, 8:380-389)との性能比較を実施した. 提案法は,3パラメータロジスティックモデルに縮小係数(0~1の値をとる係数)を乗じたモデルであり,Copas の縮小推定法(Copas, 1983, Journal of the Royal Statistical Society, Series B, 45:311-354)を応用することで推定することができる.当該縮小ロジスティックモデルに基づく用量探索法は,試験初期に高用量を探索することで,過剰毒性用量を学習し,試験後期ではその用量を回避して用量探索を実施する.このため,最大耐量(maximum tolerated dose; MTD)の同定精度も向上し,既存法よりも優れた性能を有する.シミュレーション実験により既存の2方法と比較した結果,提案法はこれらの方法よりもMTD同定割合が12%高く,さらに過剰毒性選択割合を25%低くすることができた.今後は,他の方法も含めて提案法の性能を検証していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
提案法については,生物統計学の国際雑誌(Statistics in Medicine)に採択されており,さらに,当該領域の総説を執筆し,計量生物学(Japanese Journal of Biometrics)に採択されている.現在は,海外の共同研究者と共に,提案法を含めた用量探索法の性能比較に関する研究を実施し,その成果を国際雑誌に投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
提案法に関する検討は一通り終わっているため,今後は,提案法の改良・拡張を試みる.具体的には,提案法を分子標的薬のための用量探索法に改良することを考えている.また,コンパニオン診断薬を伴う抗がん剤開発が増加しているため,バイオマーカー陽性例・陰性例のそれぞれでMTDを同定できる用量探索法への拡張を検討している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度は,業務の都合上,国際学会への参加が困難であったため,当該旅費を次年度に繰り越すこととした. 繰り越し分は,会議・学会旅費にあてる予定である.また,必要に応じて計算機を購入する予定である.
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Research Products
(6 results)