2013 Fiscal Year Research-status Report
局所時間を利用したジャンプ型確率過程の統計的推測とその応用
Project/Area Number |
25730016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
藤井 孝之 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (40530259)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 局所時間 / 確率過程 / ノンパラメトリック統計 / モデル選択 |
Research Abstract |
局所時間という変量を中心にジャンプ型確率過程に対する統計的推測理論の研究に取り組んだ。今年度は特に本課題の申請期間中にJournal of Applied Probability誌に論文(単著)が採択されたタイプのジャンプ型確率過程に絞り研究を進めている。本研究課題ではより一般的なジャンプ型確率過程を対象としており、少し制限を設ける形になったが、それでも局所時間の確率積分表現などの結果はこれまで明らかにされていなかったものであり、また保険数理や地震統計学といった本研究課題で想定している応用分野において利用されるモデルを含んでいるため、十分に意義のある研究と考えている。ここをベースに次年度以降に一般化に取り組んでいく。統計的推測の具体的な課題としては、定常密度に対するノンパラメトリック推定量である局所時間推定量の漸近的性質を調べた。また、確率過程におけるモデル選択問題に最近関心を持って取り組んでおり、離散的に観測された拡散過程のモデル選択に関する成果(共著論文)が、Statistical Inference for Stochastic Processes誌に採択済みである。これはジャンプを持たない拡散過程を対象にした結果であるが、この研究を通して身につけたモデル選択問題へのアプローチ手法を、ジャンプ型確率過程の場合に今後生かしていきたい。そして本研究期間までに得られた成果は、日本数学会2013年度秋季総合分科会(愛媛大学、9月)にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
あるクラスのジャンプ型確率過程における局所時間の確率積分表現がすでに獲得できており、マルチンゲール理論など確率解析の結果を適用していくことで、今後この確率過程に対する種々の統計的推測における課題が解決可能であると期待されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに獲得したジャンプ型確率過程における局所時間の数学的特性をもとに、ジャンプ型確率過程の統計的推測における未解決の課題に取り組む。具体的な課題として、モデル選択問題や非正則条件下での母数推定問題などが考えられる。非正則条件下における議論では、最尤推定量やベイズ推定量が漸近正規性を満たさず、また最尤推定量ではなくベイズ推定量が漸近有効となることがしばしばある。したがって、ここでは非正則な未知母数に対する最尤推定量やベイズ推定量の収束率および漸近分布を明らかにし、推定量の漸近有効性まで検討することを想定している。理論研究と並行して、シミュレーションプログラムの開発も行う。
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