2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25730024
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
尾崎 幸謙 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (50574612)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心理学調査 / 因子分析 / 短縮版 / 信頼性 / 妥当性 / 構造方程式モデリング / 欠測データ |
Outline of Annual Research Achievements |
心理学の研究では外向性や自尊心などの構成概念が質問紙調査によって測定される。多くの研究では複数の構成概念が扱われるが,それぞれの構成概念は多数の項目によって測定されるため,質問紙調査の項目数はかなりの数に及ぶ場合もある。この問題に対して,心理学の研究では通常のバージョン(以後,原版と呼ぶ)よりも項目数を減らした短縮版がしばしば研究で使用される。短縮版は原版に比べて信頼性や妥当性ができる限り低下しないように構成されるが,できれば原版を使用できるに越したことはない。 そこで,本研究では分冊版という新しい調査方法を確認的因子分析の文脈で開発し,シミュレーション研究および実データ解析によって,その性能を調べた。また,分冊の方法には多くの種類があるため,有効な分冊方法についても調べた。分冊版とは,たとえば3分冊の場合には,異なるバージョンの短縮版調査票を3種類作成し,対象者に対して3種類のうちのいずれかをランダムに割り付けて実施する方法を指す。各対象者は短縮版調査票に回答するので,全体のデータ行列には欠測が生じるが,これはMCAR(Missing Completely At Random)として処理することができる。 実データ収集では,和田(1996)のBig Five尺度60項目(5因子×12項目)を使用した。同尺度は並川ら(2012)によって短縮版(29項目) が作成されている。データ収集は,原版・短縮版・3つの分冊版(それぞれの分冊版では3分冊)についてH27年度にインターネット調査で実施した。時間割引率など,Big Five以外の項目も収集し,妥当性の検証に使用した。 実データの分析およびシミュレーション研究はH28年度に実施した。その結果,尾崎(2015)では,因子間相関や妥当性の面で,短縮版よりも分冊版の方が優れている可能性が示された。さらに,H28年度は,別の分冊方法でデータ収集を行った。研究成果は論文としてまとめているところである。
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