2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25730030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
福士 将 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (50345659)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ネットワークオンチップ / 部分再構成 / 耐故障ルーティング / ネットワーク再構成 |
Research Abstract |
今年度は,本研究で開発を目指す,部分再構成に基づくネットワークオンチップ(NoC)の構成法について,基本設計とプログラム実装ならびに性能評価を行った.本手法は,部分的に欠陥や故障を含むNoCの信頼性を向上させるために,欠陥領域を迂回して情報通信を行う耐故障ルーティングと,冗長要素(スイッチやリンクなど)を用いて欠陥領域を除外するネットワーク再構成の効果を併用したものである.まず,耐故障ルーティング法として,研究代表者らが近年開発した2次元メッシュ型NoC向けの手法を対象に,欠陥分布とルーティング経路の関係について詳細な解析を行った.この結果,複数の欠陥が集中する欠陥クラスタがネットワークの端に接する場合と,複数の欠陥クラスタに囲まれる領域が存在する場合に,経路長が長くなることを明らかにした.次に,この結果をもとに,冗長要素を用いるネットワーク再構成を適用し,上記の欠陥パターンを部分的に再構成し,ネットワークから極力除外する手法を開発した.これにより,欠陥数が同じ場合でも,経路長を数パーセント短縮可能なことと,さらに,ルーティング規則を約3分の1に削減可能なことを明らかにした.本成果は,高通信性能と高信頼性を両立するNoCを少量のハードウェアで構成可能なことを意味するものであり,従来異なる目的で研究されてきた2つの耐欠陥技術を融合することにより生まれたものである.本手法の基本的な考え方は,メッシュ型以外の他の形態のNoCにも適用可能である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標は,部分再構成による新たなアプローチのNoC構成法の開発であった.このために,(1) 耐故障ルーティング法における性能低下の原因となる欠陥パターンの解析,(2) 部分再構成の適用による当該欠陥パターンの削除,の2つを行う計画であったが,これらは,上記で報告した通り,概ね順調に進展しているものと考える.ただし,本手法による通信性能の改善効果については,さらなる詳細な評価が必要であり,次年度で引き続き行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,これまでの結果に基づき,本手法による通信性能の改善効果を検証し,性能指標(NoCのサイズ,通信性能,消費電力など)間のトレードオフ関係の解明を行う.このために,最適化問題への定式化方法を検討し,計算機シミュレーションにて評価を行う.複数のパラメータを様々に変更しながらシミュレーションを行うため,短時間で成果を得るために,複数の計算機を用いて,並列に評価を行う予定である.さらに,本手法の実アプリケーションへの適用効果を実証する.このために,評価アプリケーションとして予定している3次元形状復元法の並列化手法を検討し,本手法を適用した場合の計算性能を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は,主として,評価実験に用いる機器の変更と,海外の研究協力者への訪問計画の変更による. 次年度(平成26年度)では,最適化問題のシミュレーションを並列に行うための計算機を3台購入する計画であり,海外の研究協力者への訪問も計画している.これらは未使用額からの支出を予定している.これに加え,当初の計画通り,アプリケーション実装のためのFPGA搭載ボードと制御用計算機の購入のために物品費を使用する.また,国内外の学会での成果発表のために旅費を使用し,評価実験システムの構築とデータ計測・整理のために謝金を使用する.当初の使用計画を大きく変更することなく,未使用分を有効に活用しながら,研究を推進する予定である.
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Research Products
(11 results)