2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25730057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新熊 亮一 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (70362580)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生成・消費エネルギーの数学的モデル化 / 計算機シミュレーションによる有効性検証 / 実装実験による有効性検証 |
Research Abstract |
近年のビッグデータという表現に代表される情報の爆発的増加と、その流通を支える通信インフラの規模の増大を背景とし、平成25年度より「自然エネルギー発電と通信制御の統合システム」という研究テーマで、将来的に大きな社会問題になると予想される通信インフラにおける消費エネルギーの問題に取り組んだ。太陽光発電や風力発電、地熱発電といったほとんどの自然エネルギー発電では、場所や時間、天気などに依存して発電量が変化する。提案システムは、通信ネットワークにおける各経路の発電量も含めた電力状態に応じて、「機会をうかがいながら」トラヒックの配分を制御することで、全体的なエネルギー利用効率を向上する。 まず、初年度である平成25年度は以下の順で研究を進めた。1) 調査によるモデル化: 既発表文献による調査から、自然エネルギー発電による生成エネルギー、通信ネットワークの消費エネルギーを表すモデル (関数)を明らかにした。 2) 実測によるモデル化: 無償公開されているあるいは有償で購入可能な実測値のデータを入手し、これらから生成エネルギー、消費エネルギーをモデル化した。3) 実現性の検証: 1)と2)で構築したモデルを用いて、提案システムの実現性を検討した。具体的には、通信ルータ1台に着目し、太陽光発電による生成エネルギーが十分に従来の供給エネルギーの消費を削減可能な領域があることを明らかにした。4) コスト対効果の検証: 1)と2)で構築したモデルを用いて、提案システムのコスト対効果を検討した。具体的には、通信ルータ1台に着目した計算機シミュレーションと実装実験により、太陽光発電による生成エネルギーが大きい時のみデータの転送を行う転送手法で、従来の供給エネルギーの消費を大幅に削減可能であることを示した。 以上1)~4)はいずれも報告者が知る限り国内外で初めての成果であり、関連分野において重要であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成25年度の目標を達成でき、さらにルータ1台を想定した計算機シミュレーションおよび実装実験による成果を得ることができたため。また、論文誌1件、国際学会1件、国内学会2件の外部発表を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、以下の通り進める。 1) トラヒック制御方式の設計: 平成25年度構築したモデルと明らかにした実現可能条件を前提に、現実の様々なネットワークに適用可能な自然エネルギー発電に応じた通信トラヒック制御方式を設計する。 2) トラヒック制御方式の評価: 1)で設計した制御方式をまずはランダムなネットワークを想定して評価する。さらに、スモールワールド性を有するネットワークやモバイルネットワークにも適用して評価する。 3) 予測精度も加味した実現性の検証と評価: 気象などからの自然エネルギー発電の発電量の予測と通信トラヒックの予測、両方の予測精度を加味した実現性の検証と評価を行う。
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