2013 Fiscal Year Research-status Report
決定的アルゴリズムに基づき動作する構造化オーバーレイネットワークの設計と実装
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25730064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
武田 敦志 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (90424001)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オーバーレイネットワーク / P2Pネットワーク / 負荷分散 / データ集計 |
Research Abstract |
平成25年度は、構造化オーバーレイネットワークに参加している各ノードによって管理されているデータを集計するためのスケーラブルな集計アルゴリズムと通信プロトコルを開発した。本研究課題で開発した集計手順では、各ノードが持っているデータの合計値や平均値などの集計結果を O(log N) (Nはオーバーレイネットワーク上のノード数)の通信データ量で求めることができる。そのため、10万ノード以上が参加する大規模な構造化オーバーレイネットワークに対して導入可能である。さらに、新たにタイムスロットの概念を導入することにより、従来の構造化オーバーレイネットワークの集計手法よりも正確な集計結果を得ることが可能となった。 また、開発した集計アルゴリズムと通信プロトコルを導入した構造化オーバーレイネットワークのプロトタイプシステムを実装し、実験を通じて集計アルゴリズムと通信プロトコルの特性を検証した。この実験結果より、実装したプロトタイプシステムではオーバーレイネットワーク上の全ノードを対象とした正確なデータ集計を O(log N) の通信データ量で行うことができることを確認した。これらの研究開発の成果を平成26年3月に開催された情報処理学会第76回全国大会で発表した。 さらに、上記の集計アルゴリズムで得られた集計結果にもとづき、各ノードが自律的に負荷分散を行う動的負荷分散アルゴリズムを開発した。この負荷分散アルゴリズムを用いることにより、不安定な通信状況下においても安定した情報管理と情報提供が可能となった。この負荷分散アルゴリズムを導入した構造化オーバーレイネットワークのアプリケーションとして、災害発生時などの通信インフラが不安定な状況下でも安定して情報を提供するP2P型安否情報共有システムを開発した。開発したシステムの仕組みと特性については平成26年2月の情報処理学会論文誌で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究開発目標は構造化オーバーレイネットワークにおける動的負荷分散アルゴリズムと通信プロトコルの設計、及び、動的負荷分散機能のプロトタイプの実装であった。現在までに、構造化オーバーレイネットワーク全体の情報を集計するためのスケーラブルなデータ集計アルゴリズムと、得られた集計結果にもとづき各ノードが自律的に負荷分散を行う動的負荷分散アルゴリズムを開発した。また、これらのアルゴリズムを実行するために必要となる通信プロトコルを設計した。これらのアルゴリズムと通信プロトコルを導入したプロトタイプシステムを実装し、このプロトタイプシステムを用いた実験より開発したアルゴリズムのスケーラビリティと正確性を確認した。さらに、開発した動的負荷分散機能を実装したP2P型安否情報共有システムを開発し、実験を通じて動的な負荷分散が実現できていることを確認した。以上より、平成25年度の目標である動的負荷分散アルゴリズムと通信プロトコルの設計、及び、動的負荷分散機能のプロトタイプの実装を達成しており、本研究開発課題はおおむね順調に進展しているものと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い、平成26年度以降は本研究課題で開発した動的負荷分散アルゴリズムと通信プロトコルの性能評価を行う。平成25年度までにもプロトタイプシステムを用いた評価実験を行い、新たに開発した集計アルゴリズムの正確性や動的負荷分散アルゴリズムのスケーラビリティについて評価を行ってきた。しかし、これらアルゴリズムの即応性や耐churn性に関する評価は行っていない。また、現在までの実験結果より、本研究課題で開発した集計アルゴリズムには耐churn性の面に問題があることが予想されている。そこで、平成26年度以降は、これらのアルゴリズムの即応性や耐churn性に関する解析と評価を行い、十分に負荷を分散するために必要となる時間が O(log N) (Nはオーバーレイネットワーク上のノード数)となる動的負荷分散アルゴリズムを完成させることを目標とする。また、平成25年度以降の研究開発で得られた成果をまとめ学術論文として発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画では平成25年度に行われる国際会議発表のための旅費を計上していたが、国際会議発表までに十分な研究データを用意することができなかっため、当該の国際会議での発表を見送った。そのため、この国際会議発表のための旅費及び参加費に相当する残額が発生したものである。 上記理由により平成25年度の国際会議発表を見送った。しかし、現在は発表のために必要となる研究データの整理を行っており、研究データの整理が終了次第、上記に相当する発表を平成26年度内の国際会議で行う予定である。そこで、平成25年度に生じた上記残額は平成26年度の国際会議発表の旅費及び参加費に充当する。
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Research Products
(4 results)